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【短歌一首】 在りし日の人の面影空に呼び花火刹那に永遠を語らん

在りし日の
人の面影
空に呼び
花火刹那に
永遠を語らん

コロナ禍による自粛で2020年から開催が見送られてきた花火大会だったが、昨年復活した。昨年も含めて例年8月の初旬に実施されてきたが、今年は諸般の事情で8月の下旬となったとのこと。

曇り空に花火

例年と異なる8月の終盤の開催で、台風の影響などによる天候不順雨が心配されていた。 曇りで時々小雨が降る天気ではあったが無事に開催され何より。

一瞬の閃光

いつも夏空に花火を見ていると、たくさんのことを思い出す。思い出すというよりも花火に引き出されるという感じかも。

子供の頃に家族や友達と庭や公園や海や川などでワクワク、ドキドキしながら色々な花火に次々と点火していった。子供の世界ながら、事前の花火の買い出しでの企画力、予算配分力、構成力などが問われて、友達とはしゃぎながらおもちゃ屋さんに花火の買い出しに行った。

そして、ドラゴン、打ち上げロケット、ネズミ花火、ヘビ花火、線香花火など一つ一つの花火の特徴や楽しみ方を熟知していた。点火の順番、打ち上げ方向、意外性の追求(という名の本来の使い方を外れた危ない遊び方)など友達と一緒にいろいろな趣向を凝らしていた。(これは禁止事項であったが、たまにロケット花火を手に持って人に向けてくる大バカモノもいた。)

夜空に上がった花火を見上げている人の横顔が、花火の光に照らされて浮かび上がる。その光景がとても好きだ。それぞれの人がいろいろな思いを持って見ているのだろう。子供の頃から、嬉しそうな顔の人もいるのはわかるけど、涙ぐんでいる人もいるのはなんでだろう、と思っていた。祖母や母親もよく涙ぐんでいた。

今なら、涙ぐんで花火を見上げていた人たちの気持ちが分かるような気がする。
花火は、自分が生まれてからこれまでに失ったたくさんの大事な人間を瞬時に思い出させる。まだみんなが生きていて一緒に過ごしていた幸せな時間の嬉しそうな顔を。

花火が一つ上がるたびに、失った大事な人間の面影が夜空に大きく浮かぶ。
一瞬の閃光のなかに、永遠がある。

猫間英介



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