【短歌一首】 潜りては水面に戻る水鳥の波紋に温む濠端の冬
休日の午前中に皇居のお濠端を歩くと、凛と澄み渡った真冬の空の太陽が眩しい。
日差しは明るいが空気はとても冷たい。 人通りはまだ少なく、歩いている人の多くは外国からの観光客のようだ。
日比谷濠を越えて進んでいくと、二重橋の見える二重橋濠に着く。遠くには伏見櫓(ふしみやぐら)も見える。時折池の水面を渡ってくる風はとても冷たい。
寒い中で二重橋濠を眺めていると、ときおり水鳥が水中から浮かび上がってきてはまた潜る。足が後方についていて水に潜って餌を取ることを習性としている「ハジロガモ」の仲間らしい。
ハジロガモは何度も何度も水中に潜る。水面にいる時間よりも潜っている時の方が長いと思えるくらい、水面に顔を出したと思ったらまた頭から垂直に潜ってゆく。その最後に残る後ろ足とお尻がとても愛嬌がある。
ハジロガモが動くたびに池の水面に波紋が出来る。それを見ていると寒空の下、池の水がとてもゆったりとのんびりと揺蕩う感じがして、冷えた体が少し緩み温んでくる。
猫間英介
生き物の短歌を集めました。