【短歌一首】 台風は網戸こじ開け家中に熱帯雨林の大気押し入る
一昨日は関東地方に台風7号が襲来。
大型の強い台風ということで、ベランダの物が飛ばされたりすることがないように家の中に入れていた。
明け方から地面を叩きつけるような雨が降り出し、街の輪郭もどんどん霞んでいく。窓越しに、ときおり雨が横殴りの暴風で横へ上へと舞い上げられるのが見える。
窓越しに見ていた雨はかなり強いがまだ家の中に吹き込んでくるようなレベルではないと判断し、窓を開けて網戸越しに台風を観察。
予報では、連日の猛暑がおさまり気温も最高で30度くらいとのこと。しかし、窓を開けると網戸の網目を抜けて、ものすごい生温く湿った重たい空気が家の中に一気に流れ込んできた。確かに、これまでの猛暑、炎暑とは異なり、熱そのものはそれほど高くはない。 しかし、その蒸れた空気の重苦しさ、まとわりつき方は、尋常ではない。
最近、どこかでこれと同じような、重くまとわりつく湿った空気を感じだと思いを巡らせていて分かった。上野動物園の両生爬虫類館の中の空気だ。館内の空気は、あそこの中にいる爬虫類や両生類が生息している熱帯地方の「熱帯雨林」の大気に合わせてある。あれと同じだ。
南の海の湿った空気を源にどんどん成長し北上する台風は、温帯気候の日本に熱帯雨林の匂いを運んでくる。そして、わが家にも、網戸越しに熱帯雨林の大気をどんどん押し込めてくる。
こんなに蒸した重たくまとわりつく空気でも、熱帯雨林地方の生き物にとってはパラダイスなのだろう。 ベランダにいる二匹の亀も風で飛ばされることがないように重しを置いたが亀は爬虫類。この大気を喜んでいるのか、ケースの中でドタバタと手足を動かしている。
今年も夏終盤となり台風シーズン到来。
毎回台風が過ぎた後はベランダの亀のケースが通常の2倍以上に増水し、亀もドタバタ興奮して水の汚れも増すので後の掃除が厄介。いつもの倍以上の重い水(1ケースに約20キロの水)の入れ替えをするので、腰に細心の注意。
今年はわが町に何度台風が来るのだろうか。五感を駆使してしっかりと観察していきたい。
猫間英介