【短歌一首】 終はりなき再開発に街の空摩天楼の中いよいよ狭し
街の再開発事業がとどまるところを知らない。
本格的な工事が開始されてからもう5年になるが、まだまだ継続中。
駅の近くを中心に工事が行われているが、駅周辺を含めて街が根こそぎ変わっていく。これまであったたくさんの民家や商店が撤去され広範囲にわたり更地にされ、そこに重機が入り、最後は大型商業施設とタワーマンションに変わっていく。
以前はタワーマンションなどの超高層ビルは一つもなかった街に、数年間の間にすでに6、7本建っている。そして現在も新しいタワーマンションと複合商業施設が建設中。
街の何ブロックも再開発の対象となり、住み慣れた街や通い慣れた道や店が一気に撤去され全てが更地となった時には、だたっ広い工事現場が荒凉とした砂漠に見えた。
そしてどんどんタワーマンションや大型商業施設が建っていくにつれて、今度は街の空がますます狭くなり、地上は暗くなり、ビルを吹き抜ける強いビル風に悩まされる。普通の雨が暴風雨のようになる。
大規模な再開発は今やどの街でも進行している。
地震などの災害に強い都市づくり、便利で豊かな街づくり、というスローガンはそのとおりであり、いろいろな対策がとられて然るべきであると思う。
しかし、住み慣れた街があまりにも短期間で根こそぎ変わってしまい、街の風景や輪郭が全く別のものになってしまうと、なかなかその変化に順応できない。そして再開発の名のもとに、街全体がどこも同じような超高層のマンションと商業施設に変わっていくのを目の当たりにすると、本来のスローガンとはかなりずれているように思える。
猫間英介
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