【短歌一首】 医者怖れ過呼吸なりし猫はただネックカラーにしょぼくれ眠る
どうもこの秋は猫たちの体調が良くない。先日、17年目の猫が足を挫いてペットクリニックに連れて行ったと思ったら、今度は10年間一緒に住んでいるもう一匹の猫が体調を崩して医者へ。 史上最も長く暑かった今年の猛暑の影響か。
もう一匹と異なり、こちらの医者嫌いは半端ではない。 まずは移動用のカゴに入れるのに一苦労。体も大きく重く筋力も強いので、姑息な手段だが大好きなチュールで釣ってカゴに入ってもらう。
ペットクリニックに着いて待合室で待っているときにカゴの中に目をやると、網目越しにものすごい速さでハアハア言っているのが伝わってくる。いつものことだが、毎度、この世の終わりのような顔をしてシャウトしている。
いつもは本当に穏やかやおとなしい性格なのだが、ペットクリニックへ行くことへの恐れはあまりにも大きいようだ。獣医の先生に会ってしまえばおとなしくなるのだが、待合室では蛇が噛み付くときのような顔をして過呼吸になっている。
ペットクリニックでは注射を打たれ、さらに大嫌いなネックカラーを付けられ、家に戻っても最初は緊張している。そしてだんだんと冴えない表情となり、押し入れの奥や布団の奥に隠れてしまう。
しばらくの間はペットクリニックの恐怖とネックカラーの不快感を忘れるかのように、ひたすら、ひたすら眠る。
よく眠って、自己免疫力を高め、自然治癒力の向上を図り、回復を目指す。これは野性の本能なのだろう。 余計なことを考えたり、悩んだりせずに、体の感覚に忠実なりしっかりと休息を取る。 人間も見習いたいところだ。
猫間英介
生き物の短歌を集めました。