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【短歌一首】 印鑑の証明なくば吾を吾たらしめられぬお役所の午後
印鑑の
証明なくば
吾を吾
たらしめられぬ
お役所の午後
短歌は忍耐養成セラピー。
最も苦手で嫌いなものの一つに、お役所でのいろいろな細かい公的手続きを理解し、準備し、申請することがある。もう本当に苦手で、脳に、神経に、心臓に、心に良くない。
この数年、プライベートでも仕事でも、役所への提出する書類の準備、確認、提出、問合せ対応、修正などが必要な事態が次々と発生。思い出すだけで血圧上昇、心拍数増加、呼吸浅く、冷や汗が出てくる。
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昨日も印鑑証明が必要になり、仕事途中に時間休暇取って役所まで印鑑証明を取りに行った。ついこの間、別の案件で取りに行ったような気がするのにまたか。3ヶ月以内に取得したものでないとダメなので仕方ないのだが。その印鑑証明を添付する書類の準備やその提出先からの要請事項を満たすことを考えるだけで心臓がドキドキして背中を冷や汗が伝う。
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相続、相続人証明、税務処理、不動産や車などの所有権の移動、各種登記などなど、いつも個人実印の印鑑証明の提出を求められる。1通300円。前回取得したときはすぐに別件で必要になる可能性後を見込んで余分に取得したのに、ギリギリのところで3か月を経過してしまい無効。
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ある役所で取った印鑑証明や登記などを、また別の役所に持って行く。不備や不足の指摘やケチつけくらって、手戻りもしばしば。その度に時間と労力と費用がかかり、寿命が短縮される実感あり。特に、相続関係は大きな喪失感を抱える中で行わなければならないのでより一層疲れる。
長く付き合いのあった親友が亡くなった後に、親友の奥さんが言っていた一言が忘れられない。「人が亡くなって悲しみに暮れている最中でも、亡くなった人に関する公的手続きの書類が次から次へと送られてくる。あれは本当に辛い。」と。
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人生のざまざまな重要な法的行為や契約を行う時、印鑑証明がないと話にならない。欲しくもない立派なハンコ作ってもらって、よく読めない幾何学的な印影彫ってもらって、それなりのお金取られて、そしてその証明書もらうたびにまたお金払って。なんか腑に落ちないな。
いまだに自分が何者か自分で分かっちゃいないのに、印鑑証明は世の中に吾を吾であると証明してくれるわけね、一回300円で。 反対に、重要な約束事や届出などでは印鑑証明無けりゃ世の中は吾を吾とは認めてくれない。印鑑証明ってえらい奴?
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いろいろ煩雑な公的手続き、本当に身も心も疲れる、挫ける、折れる。はよ、完了せんかな。心臓のために救心を飲んでおこう。
猫間英介