【短歌一首】 空翳り風変はるときカモメ発つ波音増せる遠雷の浜
この日の鎌倉は、天気予報では午後からところによって強い雨が降るとのこと。
朝から空には雲が多めではあるものの、おおむね晴天。
午前中の材木座海岸の浜辺は、太陽のもと海で人はサーフィン、波打ち際ではカモメが散歩。
ただ、遠くの空には入道雲が多く出ていて、これから海面温度の上昇とともに湿った空気の上昇を受けて、雨雲に発達していくと思われる。
午後、用事を終わらせてまた材木座海岸に来てみると、天気予報どおりかなり雲行きが怪しくなってきている。太陽が翳っている時間が長くなり、海の色もコバルトブルーから灰色がかったやや暗い色になってきている。
午前中と同様に波打ち際をカモメがゆったりと散歩している。
しばらくすると太陽がほとんど雲に隠れてしまい、海風が強くなってきた。サワサワっと少し涼しい風が砂浜を抜けていくと、それまでゆったり波打ち際を歩いてカモメが羽根を広げた。
強くなってきた風を受けてカモメが一気に舞い上がり、どこか遠くへ飛んでいった。風の強まりとともに、灰色がかった海の波も次第に強くなってくる。
カモメが飛び立ってからまもなく、空はほとんどが黒い雨雲に覆われた。遠くから雷の音も聞こえ始めた。もうすぐ一雨くる。
カモメは浜を歩きながら、常に全身で風の流れ、大気の動き、空の色、波の強さなどを感じ取っているのだろう。日の翳り、風の向きや温度を敏感に察知して飛び立っていったのか。
雨がポツリ、ポツリと落ちてきた。
猫間英介
鎌倉の短歌を集めました。