【短歌一首】 後ずさる足跡消して波はまた引きて後追ふ吾を濡らせり
短歌は散歩散策セラピー。
鎌倉駅から京急バスに乗り、材木座海岸へ。
鎌倉観光協会のホームページによると、このレトロ調のバスは「りんどう号」という名前が付けられている。
鎌倉駅から4つ目の停留所「臨海学園」でバスを降りて、海沿いの国道134号方面に向かって歩く。
材木座海岸の砂浜をゆっくり歩きながら少しずつ波打ち際に近づいていく。
砂浜には打ち寄せる波が届いて砂が濡れている部分と、波が届かず乾いてサラサラした部分と大きく2つに区分される。
裸足にサンダルではなく、革靴に靴下を履いていたので、足に波がかかって濡れることがないように、慎重に砂が濡れて色が濃くないっているところに近づく。
波は潮の満ち引き、風の強さなどで一つ一つ形も大きさも崩れ方も違う。特に、気をつけているのが、波の砂浜での伸び。 何回も同じようなところまでしか来ないので大丈夫と気を抜いていると、突如、大きく伸びて足元まで迫ってくる。後ずさりした靴の跡が砂に刻まれ、それを波がすぐにさらって行く。
波が足元まで押し寄せ、また引いていくと、それに合わせてこちらも波を追いかけていく。
特に、急に大きく伸びてきた波は引いていく幅も大きいので、見ていて楽しい。
そしてだんだん調子に乗ってきて、いかに足を濡らさずに引いていく波を水際のギリギリまで追っていかれるかに挑戦したくなる。
波が来ては後ずさり、波が引いては追いかけていく。何回か繰り返しているうちに、ついに靴底から海水が侵入してきた。波に負けた。靴下が濡れて気持ち悪い。
後から、靴底から海水が侵入し靴下の濡れた理由は、直接波がかかったというだけではないことに気づいた。そういえば、波が全然届いていない場所を歩いている時、なんとなく靴下が蒸れているような感じがした。
浜辺の全く砂が乾いている部分と、すっかり砂が濡れている部分の他に、その中間のグレーゾーンがある。このグレーゾーンの砂を踏み締めて歩いているときに、下に溜まってる海水が滲み出てきて靴下を濡らしたのだ。
そんなことは、子供の頃であれば容易に予想がついたことなのに、大人になり、歳を重ねて、ごくたまに海にきて浜辺を散策しているだけだと、すっかり大自然と遊ぶときの勘が鈍ってしまっている。悔しいな。もう少しまめに海に来よう。次は素足にビーサンで。
猫間 英介