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【短歌一首】 木の橋も海辺の店もなき冬の浜を分かちて滑川(なめりがわ)ゆく
木の橋も
海辺の店も
なき冬の
浜を分かちて
滑川(なめりがわ)ゆく
鎌倉の市内を流れて海岸に注ぐ二級河川「滑川(なめりがわ)」。
鎌倉には特に大きな河川はないので、街中を歩いているときに川を意識することはあまりない。滑川も街中では全然目立たない。 しかし河口の直前では滑川はそれなりに大きい川となり、存在感を増して相模湾にゆったりと注ぐ。
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鎌倉市十二所の朝比奈峠付近を源流とし、鎌倉市街の真ん中を流れて、由比ヶ浜と材木座海岸の間で相模湾に注ぐ約6kmの川。
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真冬の滑川の河口はとても静か。人もほとんど見かけない。
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夏の間は、由比ヶ浜と材木座海岸を行き来するための木製の橋が滑川に架けられていたが、今はもう解体されている。
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また由比ヶ浜、材木座それぞれの浜辺には、夏季には海の家がたくさん建てられていたが、9月には解体され真冬の今は跡形もない。
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よく滑川の説明で、由比ヶ浜に注ぐと書いてあるが、正確には由比ヶ浜と材木座海岸とを切り分ける形で相模湾の海に注いでいる。
夏の賑やかな浜辺はエネルギー全開という感じでとてもパワフルで魅力的だが、真冬の何もない静かな浜辺は、波の音と海風と海鳥の鳴き声だけが過ぎてゆく。これもまた素晴らしい。
いつ訪れても滑川の河口から臨む相模湾は美しい。
猫間英介
鎌倉・江ノ島の短歌を集めました。