【短歌一首】 雨柱水平線より駆けてきて浜より鳥と吾を蹴散らす
6月28日(金)の日本列島は各地で大雨。 鎌倉でも朝から土砂降りの雨。
午前中、大雨の中を鎌倉材木座海岸を歩き、その後用事を済ませてから15時過ぎに再び材木座海岸に来てみた。大雨は一段落し、雨はごくたまにパラパラと落ちてくる程度で、傘をささなくても大丈夫なくらいになった。
午前中に散歩した時は傘がひしゃげ、砂浜は川のように雨水が流れ、視界もかなり悪かったが、今度は傘もささずにゆっくりと歩けそうだ。 午前中は雨と海風の猛威に身の危険を感じるほどだったが、今はむしろ凪の状態で穏やかな浜辺。
【午前中の散歩を詠んだ歌】
国道134号の下にある材木座海岸へ抜ける地下道は二つあるが、午前中通った地下道よりもやや広い別の地下道から浜辺に出てみる。道路から滝のように流れていた雨水は今はストップしている。
雨が止んだとはいえ、地下道は雨水がかなり残っており足元はぬかるんでいる。足を取られないように慎重に歩を進める。地下道の出口の向こうの空は、雲の色も雨を降らせてだいぶ薄くなり、空全体も明るくなってきている。
地下道から海に流れ込んでいた雨水の川の幅も、午前中に比べるとだいぶ狭くなってきている。これから後の時間は晴れに向かっていくかな、と期待しながら散策を続ける。
ところが、やはりこの季節、大気は不安定で天気は急変するもの。材木座海岸から逗子マリーナ方面を眺めていると、上空の雲の色がどんどん黒っぽくなり、先ほどまでやや凪の状態だったのに風が再び強くなってきた。これは侮れない。
雨が上がり風が止んでいた時には、浜辺にはたくさんのカラスやトビなどの鳥たちが砂浜を歩いていたが、再び雨雲が広がり風が出てくると一羽また一羽と飛び立っていき、いつの間にかほとんど砂浜から姿を消した。これは野生の鳥が何か危険な兆しをつかんだからではないか、と思いつつ海を眺める。
海を眺めていると、水平線の彼方の雲の形がどうも怪しい。これは、もしかして最近ニュースなどでも取り上げられている雨の柱=「雨柱(あめばしら)」か。
「雨柱」とは局地的な強雨を遠方から見たときに見られる柱状の雨のことを言うらしい。この用語は以前は聞いた事はなかったし、この言葉を知ったのはここ数年。テレビのニュースなどで都心の局地的な「ゲリラ豪雨」を説明するときに専門家が用いていた。
雨柱が見えるということはごく近い場所に強い雨を降らせる活発な積乱雲があることを示しているとのことなので、天気急変のサインとして注意しなければならない。これは気をつけよう。
なお、自分の持っている電子辞書で「雨柱」という言葉を引いてみたが全くヒットしなかった。気候変動により生まれた新しい専門用語なのではないか。
雨柱らしき雲を眺めていると、どんどん黒く大きくなってきている。しかもこちらに接近してきているようにも見える。もしそうなら浜辺からの退去時期も視野に入れないといけない。
再び、雨も風もますます強くなってきた。南からの海風に乗って雨柱が接近してきているからだろうか。もう少し浜辺にとどまりたいと思ったが、これは早々に退却した方が安全。決して大自然を侮ってはならない。ここは野生の鳥たちの判断に従おう。
猫間英介
鎌倉・江ノ島の短歌がだいぶ溜まったので、マガジン化(無料)してまとめました。