俳句批判論
フランス文学者・桑原武夫は「第二芸術」(1946)で俳句の芸術性の低さを指摘し、それはせいぜい第二芸術つまり二流の芸術なのだと主張した。
小説など他のジャンルと比べた場合、俳句がいかに特殊な位置にあるかを力説している。
読むと納得させられる部分も多いが、そこに通底する日本特殊論≒西欧コンプレックス≒西欧中心主義が気になってしまう。
とはいえ敗戦の翌年に発表された文章なので、当時の時代状況・時代的制約による影響は仕方あるまい。
似たような例として、同年の丸山眞男「超国家主義の論理と心理」がある。
しかしながら終戦直後、このように自国の文化や社会への痛烈な批判・反省が行われたことが、戦後日本の活力源になったことは否定できない。