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パーフェクトブルー(1997)
今敏監督のアニメ映画『パーフェクトブルー』を観た。
鬱々しい'トラウマ作品'として名前がよく上がっており、気になっていた。
たしかに主人公が現実と虚構の間で葛藤し、徐々に追いつめられていく様はハラハラする。
しかしそれ以上に、オチがしっかりしているのが印象的だった。
実は主人公よりも真犯人のほうが、現実と虚構の間を彷徨い自我崩壊を起こしていたとは興味深い。
それからラストの主人公のセリフと表情が、とても気に入った。
直前の他の人々の会話を受けた発言であると同時に、自己同一性の確立を宣言する意味も込められている。
'95年の押井守作品『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のラストと対照的だ。こちらは主人公のセリフと表情が謎めいており、自己同一性の行方が曖昧なまま終わる。
私の今の好みとしては、煙に巻かれて終わるよりは、事態がちゃんと解決した上で感動できるラストがいい。