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ラカンとアルチュセール、全否定される

岸田秀の『二十世紀を精神分析する』を拾い読みした。

「フロイド讃歌」という章で、精神分析はフロイトの理論さえあれば事足りると書かれていた。

そう思うのは自由だが、フロイト理論の継承者たちへの批判の仕方が納得いかない。 

次の記述(p.217)は、ラカンの理論への批判だ。

[…]大文字のSとか小文字のsとか、シニフィアンとかシニフィエとか、大文字のAとか何とか、フロイド理論の理解にも人間理解にも役立つとは思えない荒唐無稽な用語がちりばめられている。

そこまで言うのなら、それらの用語がなぜ荒唐無稽なのか、理由を説明してほしかった。


また、岩田温の『政治学者が実践する流されない読書』という本でも、似たような記述があった。

こちらはアルチュセールへの批判だ(p.139-p.140)。

[…]読んでみても大したことは言っていないのです。しかも、最後は狂気に取りつかれて自分自身の妻を絞殺してしまいました。内容も陳腐だし、生き方にもまったく共感できない思想家です。

やはり著作や理論の具体的な内容には触れずに批判している。

その上、精神疾患を「狂気に取りつかれて」と表現するのも学問的とは言えない。


奇しくも、アルチュセールは精神分析の影響を受けており、ラカンと交流があった。

岸田と岩田はどちらも早稲田大学出身だが、交流があるかは存じ上げない。

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