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教養とは何か?

世の中、「そんなことも知らないのか!」と思ったり思われたりの連続である。

とくに、「教養」と呼ばれる領域に属する事柄を知らない人が多いと、社会全体が劣化しているように思ってしまう。

しかし、誰でも知っているような知識は、そもそも教養と呼ばれない。

知らない人が多いから、教養なのである。

突き詰めて言えば教養とは、「知らなくても生きていけるし何の問題もないが、知っていると何となく良さげ」という程度のものでしかないのだ。


逆に言うと教養は、学問関係に限らない。

たとえば、野球に無知な私からすると、プロ野球やMLBに詳しいオジサンは教養人である。

また、ハイブランドに詳しい女子大生も立派な教養人だ。

あるいは映画や音楽を鑑賞する場合、もちろん純粋に楽しむのが目的だが、詳しくなりたいから次々と観たり聴いたりするという面もあろう。


この「詳しくなりたい」という奇妙な欲求こそが、教養の正体である。

なりたい自分になる――まさに、Bildung の意味するところに相違ない。

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