「洋風」という日本文化
料理には「洋食」というジャンルがある。
西洋風の料理という意味だが、日本における洋食と「西洋料理」は必ずしも同じではない。
洋食には日本独自の要素が含まれるからだ。
ナポリタンは、よく知られているように日本発祥である。
ハンバーグも日本で独自に派生・発展したもので、ハンバーガーの国アメリカでは普及していないらしい。
それゆえ、芸人がカウボーイ姿で「ハンバ~グ!」と叫んでいるのは本当はおかしいわけだ。
同様にオムライスやドリアも、日本独自の料理である。
「洋風」は立派な日本文化だと思う。
なにも「純和風」だけが日本らしさではない。
写真家・高梨豊の作品がそう気づかせてくれた。
被写体の洋食屋、団地、デパートなどは、われわれの生活に馴染んだ日常風景であり、味わい深く愛おしい。
音楽もそうだ。
いわゆる「邦楽」の多くは、使われている楽器からして洋風だが、もはや日常生活に欠かせない日本文化なのだ。