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すべての感覚を全開にして癒されろ『ARIA』
やあ、僕だよ。飽き性ちゃんだよ。
僕の住む関東郊外がぐっと寒くなったせいで、つむじから爪の先まで重くって仕方がないんだ。
こんな日はお腹とお尻にカイロを貼ったら、大きめの腹巻で固定して、温かいスープを飲んで、布団に潜り込むしかないよね。
身体が温まるまで、今日はこの作品なんてどうかな?みている内に心まで温まったら、寝てしまおう。話の途中だって大丈夫。
そうしたら、寒いのも「ちょっといいかも」って思えるよ。
さあ、今日も始めようか。君が心地よく過ごせるよう、願って。
作品あらすじと感想
『ARIA』天野こずえ
アニメ化されている天野こずえ代表作の漫画。
「ネオヴェネツィア」に引っ越してきた灯里の夢は、ゴンドラ案内人「ウンディーネ」になること。そんな灯里が色んな人と出会い、わずかに成長しながら、しかし穏やかな日常を送る話。
僕は漫画も好きだが、アニメも大好きだ。佐藤順一監督で安定した作画もさることながら、漫画版の雰囲気そのままに、漫画でもみられないエピソードを楽しめる。なんといっても背景や音楽が美しい。
取り除けないストレスにぶち当たった時、漫画を近くに置いてアニメを流すとブルーライトで目が疲れた時にすぐ切り替えられる。
『ARIA』が話題に出た際、「ヒーリング」や「癒し」というフレーズが欠かせない。プリマ試験の前後以外は物語としてそこまで起伏もなく、淡々となごやかな「ネオベネツィア」の生活を感じることが出来る。
主人公灯里は誰かを待つ時でも、ゆっくりゆったり歩くおじいさんがどこへ向かうのか(そして果たしてたどり着けるのか)、想像しながら楽しめる。こんな灯里の生活が「いいな」と思える感性があるなら、あなたも絶対『ARIA』で癒されるだろう。
鑑賞の際にはくつろげる姿勢で楽しむことをおすすめする。湯船に浸かっている時にみると最高だ。
お腹がすいた
ネオヴェネツィアに行きたい。いや、もうネオヴェネツィアでなくてもいい。イタリアの本物のヴェネツィアでもいい。ああ、無理か。僕のパスポートずいぶん前に切れたし、夫は海外に出たことがない。英語通じるんだろうか。まあ、通じるだろう。観光地だし。忘れてた。イタリアはロックダウンしていたんだった。してなくても、大体このご時世にイタリア旅行なんて、対外的にも自分の感覚でも有り得ない。もういっそ、ディズニーシーのゴンドラでも全然いい。行きたいなあネオベネツィア。
と思いながら漫画を読んでいたら寝ていた。
YouTubeMusicで『ARIA』関連のアルバムをリピートしていたから、爽やかなギターの音で目覚めることが出来た。腹と尻に貼ったカイロが温かい。
夫が買ってきてくれたレトルトのスープを電子レンジで温める。ビニールのパッケージ裏には底を広げ、立てるようにと記載がある。袋を開けたらそのまま皿に開けずとも飲めるパッケージらしい。
ずいぶん便利だなと思う反面、ビニールが頼りなく感じてそのまま飲むのを躊躇した。三秒くらい。えいやとスプーンを滑らせたら違和感はすぐ消えた。
ははあ、こんなのもたまには悪くないな。
スープは美味かった。冷凍とレトルトが毎日続くと心が死んでいく(外食や総菜を挟むとほんのわずか死にいたる速度が遅延する)が、たまに食べるくらいなら便利さの恩恵に感動すらする。
ここぞという時に食べようと取っておいた菓子パンも齧った。美味い。
夫は僕の舌の鈍さをからかうが、繊細な味覚を持っていた知人が菓子パンに顔をしかめていたのを思い出すと、貧乏舌上等である。
いや別にオーガニック無添加有機小麦粉(何だそれ)を使った高級パンが舌に合わないわけじゃない。断じて、違う。どっちも美味しい。
おや、アクアのじゃがバターなら、うちの冷蔵庫でも作ることが出来るぞ。じゃがいもあったかな。くるみがあるからパウンドケーキ焼いちまうか。
冷たい雨が降り続いている。
まだお腹がすいている
バターたっぷりトーストが美味しかった。
実家はマーガリンで食パンは8枚切しか買わなかった。
今は売り切れてない限りバターで、食パンは6枚切も買う。意地になって6枚切しか買わないこともあったけれど、料理をする習慣がつくと具沢山トーストを作りたくなるので今はたまに8枚切も買う。
6枚切だとお腹がいっぱいになりすぎるから、具沢山トーストが最大限楽しめない。8枚切にだっていいところがあるのだ。
意地になると、そういうことにも気づけなくなる。よくない。今一度、自分にリマインドしておこう。
「水菜は一度ゆでろよ」
「ばかにするな、それくらい僕にだって出来る」
水菜を冷蔵庫から取り出すと、元料理番の夫が口を出してきた。
こと食事に関して彼は僕を侮る節がある。黙って見ていたまえ。最高の水菜山芋サラダを食わせてやるぞ。
水菜の株元がやや変色している。早く食べてしまおう。最近野菜が高騰しているせいか、この水菜は税抜128円だった。水菜なんて小さい頃は税込88円が普通だった覚えがある。
なんて、ままならない。昔の方がよかったと懐古したくないが、こんなのしろと言われているようなものじゃないか。
山芋を皮をむいてから刻むのは骨が折れた。ぬるぬるでつるつる。美味しさのつけを払わされている気分になる。
用意できた水菜の上に、山芋を短冊切りにして乗せる。次は僕は小松菜と舞茸で味噌汁を作ろう。小松菜は野菜室だ。
「お前、それゆでた?」
ああ、忘れていた。
乗せてしまった山芋を取り除いていると惨めな気持ちになる。夫は手早く鍋に水を溜め、火にかけた。口を真一文字にした僕から水菜を受け取ると流れるようにゆで、水を切る。そのまま山芋と一緒にリビングに持っていってしまった。
こういう時、僕は僕自身に嫌気が差すし、今度こそ夫から愛想を尽かされるかなと一瞬思う。が、みそ汁を作っていると忘れた(ちなみにこのみそ汁の鍋も出汁も、水菜の湯を用意したタイミングで夫が用意した)。
「食え」
僕は当たり前のように差し出された山芋を食べた。
醤油とわさびと何かが入った水菜山芋サラダ。
「うまい!」
貧乏舌な僕には分からぬ調合だが、とにかく美味しかった。僕は彼に侮られても仕方のない手際の悪さだが、まあそんなことはどうでもいいじゃないか。山芋が美味いから。水菜が美味いから。
雨はどんどん強くなり、駐車場の砂利すら跳ね飛ばす。
今日はずっと止まないらしい。外に出る用事があったが、ただでさえ出不精な夫は雨だと絶対に嫌がるだろう。
この美味さに免じて今日はキャンセルだ。僕も雨の日に外、出たくないし。
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