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読了!辻村深月「盲目的な恋と友情」

《粗筋》
タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、 恋もまだ知らなかった。 だが、 大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終篇。蘭花の友人 留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実がー。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。


《感想》
たしかにタイトル通り。
極端すぎるのは良くない。
気持ち良いよな。夢中になってる間は。


《引用》
身体の芯が、熱くなる。早く帰って、彼を手に取り、口にくわえたい。不純な想像をしながら、私は、指揮者を見つめ、留利絵の後ろで、座り続けた。(P51)

あの聡明な女を、こんなプライドのない行動に走らせてしまうのが「恋」だとしたら、恋愛とは、なんと不毛なものなのだろうか怖いのは、稲葉先輩ではなく、彼女をそうさせてしまう魔物のような恋そのものだ。(P53)

「私にもみんなにも反対されてるのに茂実さんに執着してるのは、蘭花ちゃんが優しいからでも、茂実さんにいいようにされてるからでもないよ。蘭花ちゃん自身の欲のせいだよ。好きだからって言うけど、「好き」って気持ちはそんな、何もかもより一番偉いの?それは、蘭花ちゃん自身の快楽と欲だよ。それが周りを苦しめてるんだよ。わかるよね?」
どれだけ言葉を尽くされても、正論を語られても、そんな高尚なことは、それがどれだけくだらないとわかっても、茂実が私に甘える泣き声一つにすら敵わない。(P118)

(2022/3/1)

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