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読了!川村元気「四月になれば彼女は」

《粗筋》
4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12か月がはじまる―なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。


《感想》
「恋愛とは」っていう答えが出ない、もしくは答えがあったとしても人それぞれなことを、ずっと問われているような気がして鬱陶しく感じてしまった。まあ哲学(読書)なんてそういうもんか笑

《引用》
百年後、紙に便りが書かれることはなくなっているのでしょう。でもそれが綴られるのはきっと真夜中で、まわりくどい言業ばかりが続いてなにを伝えたいのかわからなくて、何度も書き直したはずなのに句読点が変な揚所に打たれたりしていて、とにかく不恰好で、けれど切実であるのは変わらないような気がします。(P9)

彼がそれについて語るときはいつも、さながらポップコーンが弾けるように、言葉が次から次へと溢れてくる。(P26)

手をとり、ゆっくりと自分の下腹部へと導く。指先に生牡螺と同じような、柔らかくねっとりとした感触が広がる。(P144)

(2021/6/17)

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