読了!市川拓司「VOICE」
《粗筋》
高校生の悟はある日、隣のクラスの裕子の心の声を聞くという不思議な体験をする。その後、偶然、近くの森で出会った二人はお互いの境遇を語り合ううちに惹かれあい、付き合うようになった。しかし、悟は受験に失敗。彼女は東京の女子大に進学することに。距離のできた二人は、それでも共鳴しあう心がお互いを強く結びつけていたが、次第に彼女は新しい世界を広げてゆく。やがて、彼女の心の声が聞こえることが悟を苦しめてゆくことに…。
《感想》
勝手に心温まる話でハッピーエンドなのを期待していた分、悲しい内容だったので余計に切ない気持ちでいっぱいになった。
あとがきで著者が、愛する者と一体になりたい欲求と、その対極にある別離と悲しみを描いたと言っていて、納得した。
「ふさわしいって何でしょう?誰かが誰かに対してふさわしい人間だとか、ふさわしくない人間だとかって、そういうの……悲しいです」(P174)
(2020/10/1)
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