「時間がない」ことより「時間をかけられない」方が問題なのかもしれない。
KURKKUFIELDS(以下クルックフィールズ)の、
タイニーハウスビレッジへ一泊してきた。
一番印象に残り、かつ良い意味で尾を引いているのは、
農場で採れた野菜を使ってのBBQ。
大きなテントの中の一席に、夫と座り。スタッフの方が、野菜とソーセージ、ベーコンの詰め合わせ木箱を持ってきて、説明してくれる。あと、自家製ソース3種類。
野菜は取ってきたものをきれいに水洗いしてくれてはいるが、切られていはいない。自分たちで、サラダなりグリルなり好きに調理して食べてくれ、というスタイル。包丁まな板など、調理器具も一通り揃っている。
にんじんは半分スティックにして…このソースと食べてみようか。
玉ねぎはサーモンと一緒にグリルにして…。
ジャガイモはグリルに…。
新顔の“プチベール”はどうしたらいいんだ?
カブはどうする?
スタッフのお姉さんにおすすめの食べ方聞いてみようか。
この紫のジャガイモは、焼くと甘い!
にんじんはこのソースと合うね!
グリルした玉ねぎもいいけど、ホイルの方もたまらん。
焼きブロッコリーとオリーブオイル+塩、最高。
ソーセージ、そろそろかな?
そんな感じで、夫と二人、試行錯誤しながら食べ進めていく。
これ、何がいいって。「食べる」ことに、じっくり向き合い、時間をかけられること。
普段食事をする時、家なら、仕事の合間になるべく早く簡単に作って、さっと食べる。
お店で食事をする時は、5-10分くらい、早ければ1-2分で完成された料理が出てくる。
そして1時間くらいで、食べて終了。
食べる時間がつくる時間と切り離されてる、もしくはつくる時間が短くて食べる時間は一瞬で過ぎ去ってしまう。忙しい人々のニーズに合わせて、野菜も調味料もすぐに使える形になっているから、それができてしまう。さっと作って、さっと食べる。
多分、そうすると、食べることに”没入”できない。頭と心から、仕事やその他いろんな物事が、出ていかない。
一方、このBBQでは、つくるところから始めて、野菜を観察して、味わって、試して比較して、夫と会話しながら、食べ進めていく。トータルで2.5時間くらい。ものすごく没入感や充実感があって、満たされた気持ち。
そう考えると、なんとなく、今の人々の生活をより豊かにするために課題があるとしたら、それは「時間がない」ことよりも、「時間をかけられない」ことではないか。
食べることに限らず、いろんなものが効率的に素早くできるように作られ提供されているから、一つのこと(たとえば仕事)から離れられない。結果、今の状況から離れて俯瞰したり、発見や気づきを得てリフレッシュする機会をつくれず、疲れてしまう。
もし、今回のBBQのように、「つくる」ことから始めて時間をかけられるなら、
また違った世界が見えて来るのではないか。
食べ物、飲み物、着るもの、住む場所、仕事、遊び…。
全てにおいて、手間のかかる、つくる余地があることが、一つの価値として捉えられそうな。そんなことを思うのだった。
そして、昨年より、地方の農村にある実家と、現在住んでいる市街地エリアの家とで2拠点生活をゆるゆる試みているが、やはり実家での生活は、”つくる”余地がめちゃくちゃある。
食べるにしても、畑に苗なり種を植えて、育てて、取ってきて、調理して。家を自分で直したり、庭の整理をしたり。道の草刈りをしたり、暴走する竹を切って山が崩れないようにしたり。用意された生活を消費しているのではなく、生活をつくっている感覚。
だから、発見や気づきがあって、ワクワク感が常に湧いてくる。自分や自分の生活が、周囲の自然や人々と繋がっている感覚も、改めて感じる。実家というありがたい拠点を大切にしつつ、いろんな形で生かしていきたい!と改めて思いつつ。
市街地の方の家では、ホットプレートを購入し、日々の食事を気軽に、家族や友人と一緒につくりながら食べれるように、なんてことを企み始めている。
いいホットプレートに巡り会えますように。
筆休め。