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文学フリマ東京35に行ってきた話とその前後の話(11月20日日曜日)

文学フリマ前(ハードロックカフェ)

午前10時にホテルを出て、どうしようと思った。文学フリマ東京35は昼12時開場であり、2時間後である。今から行って並ぶほど私は文学フリマ東京35マニアではないため、どこかで時間を潰す必要があった。

ハードロックカフェに行こうと思った。上野駅内にハードロックカフェが存在するのを覚えていた。前回の文学フリマに来た際にもハードロックカフェで時間を潰そうと思い、私は間違ってハードロックカフェに併設されているアパレルショップ(?)に闖入してしまい、「へー、かっこいい服置いてあるじゃん」みたいな感じで30秒ほど滞在、逃げるように現場を去った。自意識過剰かもしれないが、「え、絶対こいつ、間違って入ってきたよね、ユニクロ着てるし」と店員さんに思われたかもしれないのが恥ずかしかった。前回の反省を踏まえ、私は私がこれから入店しようとしているハードロックカフェが間違いなくハードロックカフェであり、ハードロックカフェのアパレルショップ(?)ではないことを入念にチェックし、入店した。果たして、そこは正真正銘のハードロックカフェであり、正解を選ぶことができた。これを私は「成長」と呼んでいる。

コーヒーを飲むつもりで入店したが、ビールを頼んだ。なぜそうなったのか自分でもよくわからない。長い人生、このような超常現象は時々起こる。文学フリマ東京35に酒気帯びのチェックがないことを祈るばかりだ。ビールを飲みながら、事前にツイッターで調べて紙に書いておいたこれ気になるなーリストを読み返し、更にツイッターで調べるなどして気になるものをリストに加えるなどした。ツイッター以外で気になるものを調べる術を知らなかった。従って、仮に自分が文学フリマに出店するようなことがあれば、ツイッターでゴリッゴリに宣伝しようと思う。

ビールの1杯目を飲み終わり、2杯目をオーダーした。1杯でやめておこうと思っていたのに不思議なものだ。時計を確認すると11時を過ぎていた。ここからの到着時間を考えると、2杯目のビールなんて頼んでいる場合ではなかった。12時ちょい前には文学フリマ東京35会場に到着していたかった。私は大急ぎでビールを飲み干し、退店した。昨晩かなり飲んでいたため、迎え酒の形となり、体調は良好であった。

文学フリマ東京35は前回と同じ会場であり、私は前回も行っているので、上野から会場の最寄りである流通センター駅まではスムーズに辿り着いた。

文学フリマ東京35(本題)

12時ちょうどくらいに会場前に到着した。開場を待つ列は既に動いていた。今回は会場が2箇所に分かれているためか、列が分散され、前回よりも入場がスムーズに感じた。比較的に列が短く入場が早そうな第二展示場に足を伸ばした。列はスムーズに進み、並んでから3分以内に入場できたと思う。

私はエッセイや紀行文に興味があり、それは偶然にも第二展示場にブースが集まっており、良かった。詩歌も第二展示場であった。短歌のブースがかなりたくさん存在したように思った。あとはなぜかストリップに関する本も幾つか見かけた。ストリップにムーブメントが来ているのか?

第一展示場には、小説、批評、何らかの研究、などのブースが集まっているようであった。私は文を書くのは割と好きで、小説とか書けたら楽しいだろうなーなどと思うものの、全く何の物語も思いつかないので、プロやアマ、人気や知名度の程度に関わらず、物語を書ける人の全てを尊敬している。従って、畏敬の念を抱きながらその界隈を歩行した。

最初のうちは人見知りが発動され、虚無を装って歩行していたが、会場の空気に慣れると、「ツイッターで見て来ました」とか「おすすめはどれですか?」とか「note見てます」とか「え、numeriの方ですよね?」とか発話して冊子を購入した。かぶりものをして全く喋らない(というキャラ)でブースにいた人の薬指に指輪があるのを発見した。彼らが販売していた冊子はかなり破天荒なドキュメントであったので意外に思ってしまい、「ご結婚されてるんですね」と思ったことをそのまま発話してしまった。かぶりものは無言で頷いた。

私は今回の文学フリマ東京35には、「少しでも気になったものは全部買う」というスタンスで来場していた。そのような気分だった。下記が購入したものの全てである。

(以下、おおよそ買った順)
『死ぬまでに消したい10のこと』野中淳
『1日3回バイクをこかした男』袋小路
『どこへ向かえば』乳化
『SFF』NATSUKI YAMAGUCHI
『禁欲日記』珠子
『賢者タイムズ』
『特装版!毎日茶漬け狂』もちづきもちこ
『ぬめり4 ふぞろいのウンコたち』pato
『多目的トイレ』pato
『馬馬虎虎 vol.2 タイ・ラオス紀行』壇上遼
『ニッポン・バクラヴァガイド』
『胎動短歌 collective vol.2』
『ライトノベルのあとがきだけを解説する本』セント ソルト佐藤
『藍蠍。』湿度文学
『怪しい人についていってみた』
『BANDIT vol.2 特集 自己啓発大解剖』
『ぬかるみ派 vol.1 特集 自己啓発』
『ぬかるみ派 vol.2 特集 加速主義』
『百合えっち文体練習』ナナオクプリーズ
『負傷』
『終わりのある脱毛体験コース』
『コントを考える』手条萌
『教養としてのお笑い評論、あるいは30年史。』手条萌
『お笑いオタクが行く!大阪以上遠征記』手条萌
『毀壊人間 創刊号』ウイーンガシャン派
『ぶっこわし読本 vol.1 横転する霊柩車の中で、君とカーナビを見ていたい。』ぶっこわしブラザーズ
『ODD ZINE Volume3』
『ODD ZINE Volume4』
『ODD ZINE Volume7』
『ナンセンスな問いのまえに』友田とん
『言葉だけの地図』宮崎智之×山本ぽてと
『ふたりのアフタースクール』太田靖久 友田とん

私はこれから1週間ほど放浪する予定であり、初手でこんなにも荷物を増やしてしまってどうしようと思ったが、仕方のないことであった。後悔はしていない。私はかなり飽きっぽいと自認しているため、文学フリマにもやがて飽きるだろう。だからこそ今やりたいことを全力でできる。今、が大事だ。

会場には14時半頃まで滞在した。後に、これ気になるなーリストを見返したり、他の人の購入報告などを見たりして、買うのを忘れたものが幾つかあることを発見したが、もうあれ以上を買うことは(正確には、持ち運ぶことは)不可能であったため、買わなくて良かった。また来てあったら買えばいい。

会場を後にしながらツイッターを閲覧すると、フォロワーさんの一人が「my new gear…」という文言と共に、文学フリマ東京35の入場ステッカーをコンビニエンスストアで購入したと思われる牛乳パンに貼り付けた写真を投稿していた。my new gear...とのことで、いま会場に着いてこれから入場するのかなと思った。そうだとすれば、行き違いだなと思った。しかし、よく考えてみれば、当該文学フリマ東京35のステッカーには「※胸の位置に常時貼ってください※」と注意書きがされており、それをいきなり牛乳パンに貼り付けるのは文学フリマ東京35に対する挑戦に思われた。とすると、そのツイートは、会場を出てステッカーが不要になってから牛乳パンに貼り付けたと考えるのが妥当で、我々は知らぬ間に文学フリマ東京35会場でエンカウントしていた可能性があった。青いシューズにストレッチジーンズ、水色のシャツに黒いジャケット、帽子をかぶり、でかい紙袋を携えていた人間を見かけたとしたら、それが私です。

文学フリマ後(西へ)

東京駅に戻り、東海道線に乗車した。西へ向かうためだ。プラットホームでグリーン券購入機を発見する前に電車の発車時刻となってしまい、グリーン券を購入せずにグリーン車に乗車した。乗務員さんに事情を話してグリーン券を購入すればいい。しかし、乗務員さんがなかなか巡回して来ず、そわそわしながら私は西に運ばれた。結果的には川崎辺りで乗務員さんが来てグリーン券を購入することができた。それ以降、私は堂々と西へ運搬された。文学フリマ東京35で購入した本を1冊読み、これは購入して良かったと思った。

24日の夜に京都で用事があり、それまでは何もすることがなく、鈍行列車でだらだらと西へ向かおうと思っていた。どのくらいのペースで進むのが正解かわからないので、この日は行けるところまで行こうと思っていた。

途中、車窓から海が見えた。曇っていたため煌めいてはいなかったが、確かに海だった。なぜなら遠くに水平線があったし、地図で確認したからである。その海は太平洋と呼ばれているそうだ。かなり広そうな名前だ。私は海なし県に住んでいるため、海というのはファンタジーかと思っていたのだが、海はリアリズムであった。逆に、雪の降らない場所に住んでいる人が雪が降っているのを初めて見て、雪はリアリズムだと感じる場合もあるだろう。豪雪地帯に住む人にとっては雪はリアリズム以外の何物でもなく、およそ毎年「雪を捨てる場所がもうない!」と大騒ぎになる様を観測したことがある。リアリズムだった。

伊東行きの電車に乗っていた。伊東というのは伊豆半島にあるため、そのまま乗っていると伊豆半島に突入してしまって西に行けない。従って、熱海駅で西へ行く電車に乗り換えをした。電車は熱海を出ると、トンネル内を走行した。しばらくトンネル内を走行した。常軌を逸した距離をトンネル内で走行しているように思われた。トンネル内というのは、外を走行している時よりも走行音がやかましく、走行音がやかましいということはものすごいスピードが出ているのではないかと錯覚してしまうのであり、西ではない異空間に連れて行かれるのではないかと不安になった。スマホの電波も入らなかった。熱海の長いトンネルを抜けると熱海よりも西であった。スマホの位置情報で確認した。異世界に運ばれていなくて良かった。

沼津で下車した。沼津で下車した理由は特になく、電車に乗っていることに飽き、疲れを感じたからだと思う。あるいは、静岡県住みます芸人ぬまんずの「沼津サイコー!!」がプライミング効果を喚起したからかもしれない。17時頃。沼津は小雨だった。北口徒歩30秒のホテルをスマホで予約し、チェックインした。オープンして1年経たないホテルで、清潔感がある割に宿泊費が安く、沼津に泊まるならここ一択だろうなと思った。

部屋でゆっくり文学フリマ東京35で買ってきた本でも読もうと思ったが、文を読むよりは文を書きたい気分だった。気分の制御は難しい。朝にビールを2杯飲んだきりだったので、空腹であった。iPadを携えて適当な居酒屋に入った。

居酒屋で酒を飲みながら文を書くと捗るかどうかはわからないが、割と好きな行為ではある。結果的に、鯵の刺身、海鮮サラダ、大きなアジフライ、カキフライ、それとビール2杯、ハイボール4杯をオーダーしながら、私は書き続けた。鯵の刺身は肉厚でこれまで食べたどの鯵よりも美味しかった。長崎県産だった。iPad + Magic Keyboard で初めての文字入力するので、書き初めは慣れなかったが、次第に慣れた。これを私は「自助」と呼んでいる。外では雨が強くなっていることがスマホアプリでわかった。傘を持ってくるのを忘れていた。止むのが22時頃とのことで、それまで飲みながら文章の入力をし続けた。

帰りにコンビニで缶ハイボールを2本買ってホテルに戻った。それからはよく覚えていないが、書いていたものに写真などを添付してnoteにアップロードしたり、部屋の風呂に入浴したり、コンビニに缶ハイボールを2本買いに行ったりしたことはうっすら覚えている。何時に寝たかさえよく覚えていない。翌朝に確かに目覚めたので、確かに寝たことだけは確かだ。行きたい場所はもう決まっている。準備をし、勇み足でホテルを出た。雨はすっかり上がって快晴だった。

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