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こんな本を読んだ 番外 ふたたび「知る」ことについて
以前の番外篇で、「私が本を読むのは、「知りたい気持ち」「読みたい気持ち」を抑えられないから」と書きました(⇒こちら)。
今回は、知ること、学ぶことについて書かれた文章をいくつかご紹介します。ふたたび、「知ること」の大切さを思っていただければさいわいです。
このような文章を読むと、「読むこと」「知ること」は、ただちに役に立つものではないけれど、よりよく生きるための基礎体力となると、あらためて思うのです。
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青木淳一 『博物学の時間』
もし、人類が生活するためだけに生きているなら、ほかの動物となんら変わりない。「知るために生きること」こそ、人類だけの特色である。博物学は、この人類の根源的な欲求に応えなければならないのである。
谷川俊太郎 『散文』より『本を読むこと』
本から学ぶものも、生かしようによっては、実際の生活の経験から学ぶものと同じように具体的なのだと思います。というよりも、それを自分の生活の中で、具体的に生かしきることのできるとき、はじめて私たちはほんとうに本を読んだといえるのではないでしょうか。
磯田道史 『仕事力「働く」を考えるコラム』
本というものはとんでもないものです。小学生の自分が一日で人類の知恵を得てしまえる。それで僕は全ての図書館の本を読み尽くすと決めます。また実家には古文書があって、祖父から手ほどきを受けて読むようになりました。
西田幾太郎 『善の研究』
知は愛、愛は知
立花隆 『ぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎術』
一生懸命勉強しても、そのほとんどは自分の中にしか残らない。なのに、なぜそこまで勉強するかというと、基本的にそういう知的欲求というのは、やはり本を書くための欲求じゃなくて、自分が本来的に持っている、「どうしても知りたい」「もっと知りたい」という欲求だからなんですね。これは、なにも僕だけが持っている欲求じゃなくて、すべての人が、必ず持っている欲求のはずです。
これは何度かぼくが書いたものの中で引用したことがあることなんですが、ギリシャの哲学者であるアリストテレスが書いた本に、『形而上学』という本があります。これは哲学の世界の最も基礎的な文献の一つなんですが、その第一行目に「人間は生まれながらにして知ることを欲している」と書いてあるんですね。人間というのは、最も基本的な欲求として、知りたいという欲求を持っている。これはほとんど人間の本能といっていいわけです。おそらく食欲、性欲と並ぶぐらい、最も根源的な欲望として、すべての人が持っているはずのものなんです。
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