詩人の恋 8
忙しい中
時折 会うくらいの方が
春の陽気の程で 心地よく
「ちょうど いいね・・・」
なんて
あなたの口癖が 嫌いだったの・・・
ずっと あなたと一緒にいて
何かを語って 見つめあって
笑って いたかった・・・
それでも
冬の寒さは 和らぎつつ
愛も 次第に ほつれだし・・・
一つになって 包まった布団
その中に 溜め込んだ
二人の 温もりも
春の のどかな日差しに
晒されては
ぬるくなり
クローゼットの闇 奥の方で
冷たく 消えていったの・・・
今は ただ・・・
首肌を撫でる 春の柔らかな風が
わたしの 火照る愛情を
幾度と 優しく 嗜めては
何処かへと 去っていく・・・
いつしか
ちょうど いいね・・・と
言う あなたの口癖に
「⋯⋯そうねっ」 なんて
心なく 頷いていた 私。
あなたと ずっと ずっと
一緒に いたかったの・・・
あの私の思いを 春風は
どこへ 運び去ったの ?
小さな私の ささやかな愛情を
こんなに広い 青空になんか
散らさないで!
・・・
今も
春風の陽気に 混じった
私の 火照る愛と思いは
彼の口癖に なって
痩せ細って 戻って来る・・・
でも
春の陽気ぐらいで
ちょうど いいね・・・
なんて
絶対 受け入れられないの。
ずっと あなたと一緒にいて
何かを語って 見つめあって
理由もなく 笑っていたいの
(ただ あなたと・・・)
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