舞埋マイワールド 第11話
今日も沢山の他人という私の世界が舞い埋もれている。
―夕方―
<海辺>
死望君「死にたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい」
死望君「はあ、はあ」
全力君「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
死望君「……」
全力君「はあ、はあ。全力で叫ぶと気合が入るよな」
死望君「……」
全力君「だから死望君が叫びたくなる気持ちは同じ様に分かるぜ」
死望君「……同じじゃないだろ」
全力君「そうかもな。だけど……叫びたくなる願望は同じだよ」
死望君「……」
全力君「苦しい現状を変えたいから、死望君は死にたいって叫んでるんじゃないのか? 話せるのなら俺が相談に乗るぜ」
死望君「……」
全力君「そうか……」
死望君「……」
全力君「泣いても嘆いても叫んでも、そう簡単に人生は変わらない。だけど心は変わるかもしれないよな」
死望君「……」
全力君「苦しいのなら全力でその気持ちを叫び続けようぜ、心が笑顔になれるその日まで」
死望君「……」
全力君「今から一緒に叫ぼう。もう一度全力で叫べば苦しい気持ちが枯れるかもしれない。もしかしたら生きたいって思えるかもしれない。どうだ?」
死望君「……」
全力君「そうか、一緒に叫ぶのはまた今度だな。これは約束だぜ」
死望君「……」
全力君「せめて俺だけでも叫んでおくか」スウ
全力君「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――」
不意打ち君「うるせえよ」テクテク
全力君「すみません」
死望君「……」
今日も沢山の私という他人の世界が舞い埋もれている。