
意見を言う前に必ずすべき”問いの再定義”とは?
こんにちは!経営コンサルタントの新米秘書です。社長の側にいて学んだことを備忘録として発信していきます。
今回は、前回の記事に続く「意見」をテーマにした第3弾です。まだ読んでいない方は、ぜひこちらからチェックしてみてください。
意見が出てこない場面では、多くの場合、その原因が解答者にあると思われがちです。「知識不足」「瞬発力の欠如」「考えが浅い」など、解答者に問題があるとされることが多いですが、本当にそうでしょうか?
実は、回答が出ない理由の一つに、質問を投げた側にも原因があると考えられます。つまり、解答者の経験や想像の範囲内で考えやすい問いが投げられていない場合、解答者が困ってしまうのです。
今回は、誰でも簡単に意見を言えるようになる秘訣をお伝えします。
あなたが意見できない時は問いを疑う
私たちが意見を言えない大きな理由
意見を求められたときに、どうして口ごもったり、なかなか言葉が出てこなくて焦るのでしょうか。そのような場合、実は問い自体が解答者の経験や思考の範囲を考慮していない「筋の悪い問い」である可能性が高いのです。適切な問いに再定義することで、意見が持ちやすくなります。良い意見を出すためには、まず問いを再定義し、意見をする価値のある問いに変えることが重要です。
筋の良い問いと悪い問いの違い
「筋の良い問い」とは、問題を深く理解し、解決策を見つける助けとなる質問のことです。これらの問いは明確であり、思考を促進し、具体的な答えを引き出します。具体的な改善策を考えることを促し、創造的なアイデアを生み出すきっかけになります。
一方で、「筋が悪い問い」とは、曖昧で具体性に欠け、答えを導き出すのが難しい質問です。こうした問いは思考を停滞させ、効果的な議論や解決策の発見を妨げます。答えが曖昧になる、具体的な行動に繋がらない、といった特徴があります。

問いを再定義すると、途端に意見しやすくなる
多くの場合、回答者は「悪い問い」に気づかず、頭をフル回転させてなんとか答えを出そうとしますが、適切な答えが導き出せないことが多いです。
私たちは、意見を求められたときに提示された「問い」に必死で答えようとします。しかし、その問いがそもそも悪い問いであれば、必死に考えて出した意見も無意味になってしまうかもしれません。
与えられた問いにそのまま答えるのではなく、どんな問いが目の前の問題を解決し、前に進むために最適かを考え、問いを再定義することが必要です。
回答者自ら"問い"を再定義することで、質問者の目的に即した意見を作ることができます。
日常のシーンで考える「問いの再定義」の効果
日常のちょっとした会話でも、問いを再定義することで、意見がぐっと出やすくなることがあります。いくつかのシチュエーションを例に、問いの再定義がどれほど重要かを見てみましょう。
【例1】友人との食事選びの例
元の問い:「今度の週末、どこで食事しようか?」
この質問、一見シンプルそうに見えますが、実は結構難しい。どんな料理を食べたいのか、場所や予算はどうするか……考えなければならない要素が多く、結論が出にくいですよね。
問いを再定義:「最近給料が出て奮発できるし、海鮮を食べてないから、次の週末は寿司かオイスターバーか、うなぎがいいと思うんだけど、どれが良い?」
こうして具体的な選択肢を提示すれば、意見が出しやすくなります。これだけで、答えやすさがグッとアップし、余計な議論も減るのでスムーズに決まるはずです。
【例2】子どもの進路相談の例
元の問い:「将来、何になりたい?」
これは特に若い子どもにはプレッシャーが強すぎます。将来のことなんてまだはっきりしていないことが多く、答えに詰まってしまうかもしれません。
問いを再定義:「今、学校で一番楽しい科目は何?その科目を使った仕事にはどんなものがあると思う?」
これなら、子どもも今の興味をベースに考えることができ、将来の仕事をイメージしやすくなります。自然な流れで具体的な話し合いができるようになりますね。
"筋の悪い問い"を見極め、瞬時に置き換えられる判断力を
答えにくい質問は自分で再定義
答えにくい質問をされたとき、無理に答えを絞り出す前に、まずは自分でその質問を瞬時に再定義してください。
質問の角度、解像度、具体度によって意見のしやすさが天と地ほど違います。ですが、プライベートでも仕事の場面でも、必ずしも答えやすい質問が投げかけられるとは限りません。「なんだこのオープンクエスチョンは……どう意見していいかわからないな」と思ったときこそ、自分で問いを再定義するチャンスです。
元の問い:「このメンバー、どう評価すべき?」
この問いは非常に抽象的で、どの基準で評価すればいいのかが不明確です。そのため、答えを出すのが難しく感じられることが多いです。しかし、このような質問でも、解答者自身が問いを再定義することで、より具体的で意味のある評価ができるようになります。
解答者の頭の中で問いを置き換える
先程の問いは下記のように頭のなかで置き換えることができます。
「このメンバーをマネジメントスキルの面でどう評価すべき?」
「このメンバーを営業力の面でどう評価すべき?」
「このメンバーをコミュニケーションスキルの面でどう評価すべき?」
解答する際の工夫:
この場合、解答者は次のように答えることができます。
「その質問に対しては、3つの観点からお答えします。まず、このメンバーのマネジメントスキルについてですが、彼はチームをまとめる能力が非常に高く、メンバー間のコミュニケーションを円滑にする力が際立っています。次に、営業スキルの面で言うと、彼はクライアントとの関係構築に優れており、特に信頼を築く力が強いです。ただし、コミュニケーションスキルの面では、時折情報伝達が曖昧になりがちなので、もう少しクリアに表現する練習が必要かもしれません。」
このように、解答者が自分で問いを再定義し、それに基づいて答えることで、評価がより具体的で的確なものになります。漠然とした質問に対しても、適切に問いを再定義することで、より深い洞察を提供でき、質問者の期待に応えることができるのです。
まとめ
質問の質が意見の質を左右します。筋の良い問いは、具体的で目的が明確なものです。一方で、漠然とした悪い問いは、答えを出すのが難しく、議論や解決策の発見を妨げます。ですが、どんな質問でも、解答者自身がその問いを再定義することで、より具体的で意味のある意見を導き出すことが可能です。
私たちが意見を持てないと感じるときは、問い自体が適切でない場合が多いです。そのような時こそ、問いを再定義することで、答えやすく、前進するための意見を出すことができます。これを実践することで、どんな場面でも自信を持って意見を述べる力が養われます。
質問に直面した際には、焦らず問いの再定義を意識することで、質の高い解答が得られるようになると思います。