「年収103万円の壁」と同じくらい、どうにかしたい事がある。
「年収103万円の壁」の引き上げが正式に決まったようだ。
ここに到る細かい経緯や、実際の効果の程はわからないが、問題提起した国民民主党の影響が大きい事は間違いない。
私も玉木代表の演説をTVで見て、とても好感をもった。
身近な問題について、具体的にスパっと切り込んでくれるのは痛快だ。
で、私が選挙演説をする立場ならこう主張する。
「スペックワークを禁じる法案をつくります」
スペックワークとは、仕事を獲得するプロセスで生じる「無償の仕事」の事を指し、デザイン・広告業界における悪習である。
例えば、デザインコンペの場合。
多大な労力をかけてアウトプットを準備しても、採用されなければ、かけた時間はすべて無駄になる。
そして発注側は、比較できるメリットのみを享受する。
コンペだけの話ではない。
発注を匂わせた「無償の企画書」を要請しておきながら、結局は発注しない。みたいな事も日常茶飯事だ。
普通におかしい。
警備員でも、スーパーのレジ打ちでも、人に動いてもらえばその分お金を出すのは人として当然だ。
会社から給料がでるのだから別にいいだろう、という話でもない。
提案をさせておいて、発注をしないというのは
飲食で例えると、
注文した料理を前にして「今お腹すいてないんでいらないな~」
と言ってるに等しい。
人の労力を無碍にする事自体、倫理的に許容し難い。
勢いよく述べてみたが、自身も含めて受注側もスぺックワークを許容している。
トータルの取引で利益が出せればいいし、クライアントとの関係維持に必要なコストと割り切っている側面もあるからだ。
受注側は仕事が欲しい。
発注側は、検討段階で対価を払いたくない。
スペックワークが横行するのは、企業単位で利害が一致しているからだ。
でも関わった「個人」は心身が消耗する。
更に、国家単位でみれば著しく生産性を落としている。
やはりスペックワークはなくしたほうがいい。
民間にまかせておいては埒があかない。
商習慣を変えるには法による強制が必要だ。
という訳で、
私が政治家として実現したい事は、
「スペックワークを禁じる法案をつくる」
である。
スペックワークを依頼した会社は罪に問う。
スペックワークを引き受ける会社も同様だ。
世の中に蔓延る「無償の仕事」を規制すれば、
働く人の尊厳は守られる。
日本の生産性も大幅に上がるだろう。
半分妄想ではあるが、業界人として使命感を感じるのは本当だ。
この公約で選挙にでたらどうなるだろう?
デザイン広告関連の人にはきっと支持されるだろう。
でも発注側の方々の賛同は得られるだろうか?
そもそもスペックワークは、デザイン広告業界特有の習慣と聞く。
その他ほとんどの職種の皆さんにも共感してもらえるだろうか?
本当に試してみたくなった。
記事をご覧いただいた政治家の方、検討をお願いします。