捨てるための日記_37「映画『ラストマイル』を観て」
野木亜紀子らしさが出ていて大変面白かった。信頼できる脚本家の物語は良い。
あと、すごく細かく取材されて書かれているんだろうなぁという内容だと思った。
巨大物流センター内への私物持込不可の徹底とか、小さな配送業者がFAXで荷物を管理しているとか、実際にあるんだろうなという感じ。
物流に関してはインターネットショッピングが当たり前になって、団塊世代が大量に退職するという問題が出てきたあたりからずっとドライバー不足も問題とされてきていた。それらは足並みを揃えた問題だったから。
私たちは個別配送の便利さに慣れている。当たり前の便利さというのは常にその背後を隠しがちだ。
電気や水のライフラインが止まったとき、私たちはその有難さを知る。そしてどれほどその当たり前の供給に依存してきたかを。
安心、安全、快適は常に誰かの努力で維持されているのかもしれない。社会は人が思うより脆弱だったりする。
『ラストマイル』はそういうことを考えさせる。そして社会インフラを支える人たちにエールを送る映画だった。彼らには誇りがある。
私自身はここ5年くらいほとんどネットショップを使わなくなった。使うときもなるべく配達日に誰かが家に居るようにしている。
別に格好つけているわけではなくて、実店舗があるうちは実店舗で買うほうが結果的に自分の利益になっているからそうしているだけである。あと今は都市部に住んでいるので探せば店舗がある。
書店に潰れて欲しくないから、本は書店で注文する。どうせ2日以内にどうしても手に取らなくてはいけない本とかではないし。
洋服も試着してから買いたいので実店舗がないと困る。スカートやパンツのゴム具合はネットではわからない。
100均は純粋に店舗を巡るのが楽しい。
私ができるのは個別配送を少なくしてビジネス配送に変えた買い物のするくらいだ。小さなことだけど、もしこういう些細なことが誰かの負担を軽くしているならいいなと思う。ただ「やらなかったこと」は目に見えないのでね。「なかったこと」は評価されないんだよね。