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ボードゲームでパンデミック対策を学ぶ!"One Health Defenders"

2025年1月11日(土)に北海道大学大学院獣医学院、One Healthリサーチセンター及びOne Healthフロンティア卓越大学院プログラムが立命館慶祥中学校・高等学校の生徒に"One Health Defenders"を実施しました。この取り組みは、中高大院連携¹⁾の一環として2023年度から行われており、今回は2回目の開催です。本記事では当日の様子をご紹介します。


"One Health Defenders"ってどんなゲーム?

1チーム(一国)のセット

"One Health Defenders"はMonohelaという世界を舞台にしたボードゲームです。物語はMonohela内に未知の病原体が広がったところから始まります。

新しい病原体がMonohelaの世界中に広がりました。

あなたは、緊急対応者としてチームを組み、病原体から自国や世界を守るために、何を優先的に対応するか判断し、行動する必要があります。
すべての患者を治療すること?ワクチン研究を進めること?食糧を確保すること?防護具を提供すること?貿易のために財政の備蓄を築くこと?
…誰も答えを知りません。生き残る唯一の方法は、同様に集められた緊急対応者と協力することです。良くも悪くも、あなたは一人ではありません。
他の国と貿易することもできますが、貿易には他国からの理解や信頼を得る必要があるでしょう。感染率の高い隣国は、国境を越えた感染を引き起こす可能性があります。また、Monohela Health Organization(MHO)に寄付することで世界を助けることもできます。自国が苦しんでいる場合は、MHOに援助を求めることもできます。

ゲームに勝つために、チームは次の3つの分野で成功する必要があります。①市民の健康を維持すること、②国際的な善意を示すこと、③MHO及び他国との明確なコミュニケーションをとること。

Guide for Playersより和訳

プレイヤーは一国の緊急対応者として、以下いずれかの業務を担当します。

  • President(大統領)

  • Minister of Agriculture(農業大臣)

  • Investor(投資家)

  • Researcher(研究者)

  • Health Care Worker(医療従事者)

  • Public Health Officer(公衆衛生官)

例えば、Investor(投資家)には、他のプレイヤーに給料を分配したり、研究開発やその他の商品の代金を集めるほか、自国がパンデミック化した場合は、他国に"感染カード"を届ける役割があります。

また、Monohela内にある国にはそれぞれ特色があり、自国の強み・弱みを考慮した戦略が求められます。

こちらはMonohelaにある国の一つ、Steppennusチーム。
Steppennusは農業・農耕が盛んな国。そのため食料生産率が高いですが、一方で薬やワクチン研究には多額の費用が必要です。

いよいよゲーム開始!

チームには中学生と高校生が混在。まずは自己紹介から始めています。
ゲームはすべて英語で実施!開始直後はみんな緊張しているのかぎこちない雰囲気が漂います。


中盤では国内外のコミュニケーションが進む

食料生産率が高いSteppennusには、各国から続々と貿易の依頼が舞い込みます。
こちらの国では国内感染者の数が増加し、対策について議論が交わされています。
MHOへ情報共有中。
MHOへ失礼な態度を取った場合、国全体の評価が下がってしまいます。


明暗分かれるゲーム終盤

ダイスで良い目が!思わず自国メンバーも拍手。
Epidemic(国内感染)を超え、PANDEMIC(国際感染)を引き起こす国も。
こちらの国はMHOへの寄附を行う等、順調な様子。


最終スピーチ!クロージングへ向けて。

各国から選ばれた代表者1名が、自国の状況やどのように対応したかをスピーチしました。
ゲームのファシリテーターを務めた獣医学研究院のMichael James Henshaw講師からの総評で締めくくります。

One Healthについて考えよう

ボードゲーム終了後には、大学院国際感染症学院長・One Healthリサーチセンター長の堀内基広教授から参加生徒さんたちにメッセージが送られました。

Take home massageとして、One Healthを考える際に大事なことを4点お伝えしました。
生徒の皆さんぜひ忘れずに!

参加学生からの感想はいかに…?

今回は、立命館慶祥中学校・高等学校の生徒さん21名にご参加をいただきました。参加した方の中から、中学生、高校生にそれぞれ感想を聞いてみました。

中学2年生:「実は昨年も参加していたのですが、昨年は自分の英語力が無くてあまり楽しむことができない場面がありました。今年はルールもわかるようになってとても楽しかったし、他学年の人との交流も出来て嬉しかったです。チームメンバーが、他国のことも考えて行動したことで、他国を助けたり、自国を助けてもらうことができたのが良かったかなと思います。」

高校1年生:「獣医師に興味があり、北海道大学の獣医学部への進学も視野に入れているので参加してみました。今までは獣医師さんというと、手術や薬を作るというイメージだったのですが、広い範囲で活躍していることがわかり、より興味が深まりました。」

"One Health Defenders"はパンデミックを封じ込めるために必要な要素を学べるだけでなく、各国でのコミュニケーションと協働、国間での情報交換、国際機関への通報や支援要請など、One Healthアプローチ²⁾に必要な要素を理解することを目的としたゲームです。ぜひ本ゲームから得た学びを広げていってください!

用語解説・関連リンク

■単語解説
¹⁾中高大院連携:中学校・高等学校・大学・大学院が連携し、学びの一貫性や質の向上を図る取り組み。

²⁾One Healthアプローチ:ヒトと動物の健康や環境・社会の健全性を一つのものと考え、多くの領域で協同し、全体の健康をより良くしていくため取り組み。
https://www.youtube.com/watch?v=tNOXD8B7_Ck

■関連リンク
立命館慶祥中学校・高等学校でアウトリーチ活動を行いました

One Health 卓越大学院プログラムWebサイト
北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所
北海道大学大学院国際感染症学院
北海道大学 One Health リサーチセンター


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