筆文字 嘉豊について
上 澤 嘉 豊(かみさわ よしとよ) 雅号 嘉豊 (かほう)
1969年 東京都生まれ
1976年 玄海書道会入会
1989年 日本書道専門学校入学 最終研究科終了
1992年 須藤花店 筆書室勤務※
2007年 赤坂プリンスホテル 筆耕室勤務※
筆耕経歴
民間企業や官庁関係での式典、宴会で発生する全ての筆耕業務
花木札、看板(小さなものから大きなものまで)席札、宛名書き、式次第、胸章、弔辞、賞状書き、目録など全般
筆耕は筆文字専門の業種
筆耕屋の中には筆耕文字と言われる独自の文字を使い、はねや払いを省略する事でスピードを優先します。
文字の美しさはあまり重視されません。
筆耕文字は書道をやってきた者として好んで書きたいと思うような文字ではなく、私は美しい実用筆文字を取り入れてきました。
私の筆文字は色々な書道の先生方から自分が素晴らしいと思った部分を取り入れた文字です。
お世話になった恩師(伊藤堯州先生、佐野桂泉先生、田中常貴先生)
実用筆文字 ‟日常生活の中にある美“ を目指す
私は書道、実用筆文字、筆耕※などを含めて40年経験してきました。
私が過去に在籍していた会社は社によって字体が違うため、その会社の字体にその都度、自分の字を合わせなければなりませんでした。慣れるまでに非常に苦労した事が記憶に残っています。
筆耕業で疑問に思う事は、筆耕屋の筆耕文字を使う筆耕士から実用筆文字を使う筆耕士が存在していて、線引きがとても曖昧な事です。
私があえて筆耕ではなく‟実用筆文字“としているのはそのためで、
一般的に必要とされている実用筆文字の美しさを取り入れる事にこだわりを持ち、経験を活かす仕事を目指しています
筆文字の必要性
いつからかパソコン等での機械筆文字をよく見かけるようになりました。
機械化された印刷文字は整っているものの、どこか味気ないように感じます。
やはり手書きの良さは、個性を活かす事で相手の記憶に残ったり、人に喜ばれたり、印刷文字とは違った、あたたかい印象を与えられる事ではないでしょうか。
人の手によって書かれる文字は不思議と人を惹きつける魅力があります。
この世に同じ人が一人としていないように筆文字も全く同じものはありません。そこには何とも言えない味わいがあります。
私は心が豊かになるものの一つとして、日常生活に手書きの筆文字を取り入れてきました。
現代においては、日常で筆を持つ事が極端に少なくなってしまい、なかなか筆文字を身に着ける事が難しくなっているのが実情です。
現代人はあまりにも活字慣れし過ぎて、活字のイメージで文字を書いている傾向にあると思います。
活字と筆文字はそれぞれに美しさの違いがあり、字体が違います。
筆文字を活字のように捉えて書いてしまうと筆で書く意味が無くなってしまい、本来の筆文字の美しさが失われてしまうでしょう。
活字には活字の美しさがありますが、このような書き方ばかりをしていると、それが美しい文字だと錯覚を起こしてしまいます。
何が「美しい筆文字」なのか分からなくなっている方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
昔は、普通に筆で何でも書ける人が身近にいました。
それだけ筆文字が身近にあったからだとも言えます。
筆で書く事は誰にでも出来ますが、実際に筆文字で書く感覚を身に付けていないため、すぐその場では書けないという人の方が多いと感じています。
筆文字は誰にでも書けるが故に簡単に見えてしまう、が実際には書く事が難しい世界なのです。
本来であればご自身で書かれるというのが本当は意味があるものなのでしょう。
とは言っても筆文字離れしている現在、専門家に依頼するのも選択肢の一つです。