石井靖子

小説を出版する夢に向けて、孤独や葛藤などの普遍的なテーマを掘り下げ、それらをどう捉え直せば生きやすくなるかを言葉にしています。挿絵はAI生成アートですが、文章は肉筆、AIでは出せない生めいた艶とリズム感のある文体を目指しています。

石井靖子

小説を出版する夢に向けて、孤独や葛藤などの普遍的なテーマを掘り下げ、それらをどう捉え直せば生きやすくなるかを言葉にしています。挿絵はAI生成アートですが、文章は肉筆、AIでは出せない生めいた艶とリズム感のある文体を目指しています。

マガジン

  • ショートストーリー / 詩

    日々の生活の中でのふとした気づきや人の心の襞に触れるような言葉を集めてみました

  • 六十花甲子 干支ポエム

    60個の干支の特徴をポエムにしてみました。

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    美術、絵画、映画、本などの紹介、感想文

  • エッセイ

    日常の一コマ、常日頃から考えていること、不思議な現象など、様々な心の動きを言葉で固めてみました

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詩|何のために書くのか

知りたいことがある 自分が何者なのか 何を大切にして 誰を守りたいのか 自分の魂が喜ぶのは何 最期に見たい景色は 次世代に遺したいものは 伝えたいことがある あのときの喜びや悲しみを 感情が波打ち震え 心の芯がつぶれたあの日を 膝を抱えて涙して 痛いほど嗚咽したあの夜を 力不足で拙くて及ばなくても 精一杯の情熱を出し尽くせばいい 苦悩して苦悶して苦心して 真っ白な紙にただ向かうだけ いつかきっとではなく それは今なんだ 誰に頼まれなくても 誰に望まれなくても この気持

    • 干支ポエム ~六十花甲子より~

       天体運行や自然現象から導き出され分類された陰陽五行説から伝わる六十個の干支は、木火土金水の自然の営みと、季節感や一日の時間の推移を表しています。  干支、すなわち、時空間エネルギーを我々は生まれた瞬間に身にまとい、その後の才能、資質や行動領域などに影響されます。  六十個の干支ひとつひとつを見ていくと、人間の在り方がパーツとして分解され、一部の特徴として理解できます。逆に、そのパーツを組み合わせて統合することで、その人の全体像が見えてきます。このように、干支の理解は人間理解

      • 水府の珠玉~人魚姫の涙

        泡となって消えた人魚姫  美しくも儚い物語 なぜこんなにも心が揺れるの  なぜこんなにも悲しくなるの あの人は私でなく彼女を選んだ  たったそれだけのことなのに あの人の隣にいたかった 笑顔を見ていたかった 手を伸ばせば届く たったひとつの席が 彼女が現れ一瞬で奪われた どうして私じゃないの  どうして彼女だったの 子供みたいに聞けたらいいのに もう二度と会えないなんて  あなたのいない人生なんて 子供みたいに泣けたらいいのに 息ができないほどの 切なさをかみ殺して 別

        • 遠くない未来に

          何もかもが新鮮で眩しい 幼少期のきらめく日常が 突如として奪われた 疑問も文句も許されぬ中 理不尽に砕け散りながら 胸の奥の暗い淵に 小さな肩をふるわせて 大切な何かを封印した もう誰も信じられない そんなことが幾度かあって もう何も感じたくない 思い出すと苦しくなって 溺れるようにもがいた日々も ついこの間のことのようだけど いつの日かそう遠くない未来に 私の全ての体験が愛おしく思え 葛藤も渇愛も何もかもを超えて あの頃のきらめきを取り戻せたなら ゆるやかな弧を描く

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          詩|愛を届ける

          僕が歌をうたうのは 歌うのが好きだから 僕がダンスするのは 僕が踊りたいから 身体じゅうを駆け巡る 熱い想いや寂しい気持ちや 色々をないまぜにして 全てを引き受け こうして言葉に 音に乗せるよ 溢れくる愛が波となって 君のところに届くといいな 溢れゆくものが灯りとなって 君の心を温めるといいな だから僕は心を込めて 歌うよこの唄を 僕が歌うのは 僕が好きだから 僕が踊るのは 君が好きだから 何のためにって聞かれれば そうやって答えるさ たとえ観客が一人きりでも全力で  も

          詩|愛を届ける

          詩|愛という名の祈り

          沈む夕日を見つめるあなたの 整った横顔を盗み見る 茜色の空にかざす美しい指から 光の束がもれいづる 受けとめきれないとあなたはつぶやく 私のことかと、一瞬たじろぐ 好きという言葉ではとうてい表せない 「想い」はいつしか、「願い」に変わった 純粋な人だから、騙されたりしませんように 夢みがちな瞳が、曇ることがありませんように その独特なこだわりにも、一番の理解者となり 海を渡る壮大な夢にも、千里を超えてお供する 誰も信じられないとなれば、黙って静かに側に

          詩|愛という名の祈り

          No.43 真昼間の情熱

          やりたい事が見つかると 走り出さずにいられない 好奇心を燃料にして バシャ馬のように駆け抜ける 楽しそうな匂いを嗅ぎ分け 美味しそうな出会いを求め いろんなところに顔を出す 真昼間のお日様みたいに あけっぴろげで 自由自在に やりたいことは今すぐに でないと気持ちが逃げていく すれっからしと言われても 一度きりの人生だもの 真昼間の決闘みたいに じゃじゃ馬に乗り 暴れまくって やりたいようにやってやる でないと心が満たされない

          No.43 真昼間の情熱

          No.11 教え導く者〜甲戌

          私には未来が見える とはいっても 預言者でもなく占い師でもない このプロジェクトの又はこのチームの あるべき姿が把握できる でも、このままでは立ち行かないから 私が道を作り、標識を立てて方向を示す とはいっても みんな変革を望まないから ニンジンを、否、明るい未来を示し 新天地へといざなうのだ それはまるで、あちらこちらの羊たちを 柵に追いやる牧羊犬のよう 鞭を手に、とびきりの笑顔で こっちなのだと教える役目

          No.11 教え導く者〜甲戌

          短編|クライマックス 終わりの始まり

          観覧車の乗るゴンドラが 一番上に位置した てっぺんでしばし静止する 景色一面を抱き 全てを見下ろす最高潮の瞬間 真昼間の夏の太陽みたいに 蓄えたエネルギーを一挙に放つ 最も輝かしい瞬間 同時に不安が首をもたげる これから私は何処に向かうのか ゆっくり下る一方なのか 時局に処して流れに乗って 嫉妬やまやかしの数々を負いつつ ここまで昇り詰めてきたが 朝日は毎回うやうやしく拝まれ 夕日は常にうっとりと惜しまれ それにひきかえ正午の夏日は 眩しいばかりで目も合わされない そ

          短編|クライマックス 終わりの始まり

          ショートショート「うさぎとクローバー」

           クラスで浮いている私は部活だけが命。朝練はもちろん、早弁して昼休みも自主練習に明け暮れる毎日。だけど、なかなか上達しなかった。  ある日、いっこ上の先輩から一緒に帰ろうって誘われた。飛び上がるほど嬉しかったな。誰かと一緒に帰るなんて久しぶりだった。興奮して一方的にいっぱい話しちゃったけど、何の話をしたんだっけ、忘れちゃった。先輩は優しく何度も頷いてくれてたな。  先輩は何をやっても一番で、学校中の憧れの人だった。凛としてかっこよくて、全てが理想でため息が出た。  先輩は私の

          ショートショート「うさぎとクローバー」

          No.27 先導者の魂

          いつだって一球入魂 何にだって一所懸命 そうやってずっと突っ走ってきたが やってもやっても完璧には程遠く 掲げた理想は遥か先に 追いかけても追いかけても その尻尾すらつかめやしない ハイウェイを駆け抜ける 視界の届くその先へ 次々と景色を吹き飛ばし 鼓動と共に風となる 死の淵をすり抜けて ひりひりと今をつなげて 未来に道を切り開く

          No.27 先導者の魂

          人を魅了するもの

          「人を惚れさせる」のはきっと、持って生まれた容姿の良さや自信溢れる力強い言動などではなく、もっと根源的な美意識に触れるもの、たとえば、流れるような所作であったり、丁寧で行き届いた指の運びや、人を包み込むような優しい眼差しなどで十分だろう。それこそが、自分の在り様を芸術的な感動領域にまで高めるように、意識されて修練された、その人の美学の現れなのだから。 逆に言うと、どんなに見てくれが良かろうが、スタイルがすぐれていようが、意識が人に向かわなければ、心底惚れさせる美しさとはならな

          人を魅了するもの

          No. 23 夜の帳が降りるころ

          沈んでいく夕日が闇に呑まれまいと 震えながら光を放つがごとく 必死で宇宙の波動を聴き 妙なる音を譜面に落とす その旋律は無色透明な水音のように 聴く者の心に深く沁みわたる ただひと時 思考をとめて日常を離れ 極上の調べに身を委ねれば 人と自然の調和の裡にて 心の安寧が得られる 夕刻の地平に隠れる日輪が 大きくため息をつき 最期の瞬きを担わんとする いまこの時 落陽の向かう彼方 宇宙の暗闇に思いを馳せ 光と影に心ちぢれながらも それでも必ず 明るい日はまたやってくると 落日

          No. 23 夜の帳が降りるころ

          No.22 美を魅せる

          私は自分の美学に則って仕事をする それは例えば着物の仕立て屋のよう どんなものがお好みか どういう風になりたいか 懇切丁寧に顧客に伺い あでやかな模様から伝統柄まで ふさわしい色柄を国の内外を問わず あちらこちらで探し回り サイズは少しあそびを入れて 上品に見せる技もはさみ 納得のいくものを提供する 貴族の正装でも、庶民の一張羅でも 分け隔てなく真心こめて 最大限に魅力を引き出し その人ぴったりを仕立てる 「期待をはるかに上回る」 そういうものを私は創る

          No.22 美を魅せる

          No.32  きみを見つめて

          頬杖ついてため息ついてる 不機嫌なのかと見ていたら目が合った 無邪気に笑うキミ 花がほころぶような笑顔 微妙な寝ぐせも襟の折れも おかまいなしに歩いてる 無防備すぎて笑っちゃう ついつい構いたくなる 子供みたいに飽きもせず続けられること すぐには形にならない地味な積み重ね キミは当たり前にただ淡々と習慣にしちゃう 見ているだけの私はただ祈る その努力が報われますように どうか蕾が開きますように 疲れて寝てしまったみたい いつものように丸まって あどけない寝顔 遠慮なく見

          No.32  きみを見つめて

          No.25  きまぐれ

          またあなたは移ってしまった つむじ風に乗ってあんなに高くに また私はおいてけぼり 足元が水浸しで進めないよ 何か言っているようだけど 遠すぎて聞こえないよ いつも話をうやむやにして 辻褄があってるって言うけど 全然ついていけやしない わたしをからかっているの そんなに上から見下したいの あなたは笑っているけれど わたしはちっともおかしくない ああ、ようやくこっちに降りてきた 目の合う高さまでに もう、ずるいんだから 今度はこんなに優しくして

          No.25  きまぐれ