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日本列島という容器が病んでいるから、我々は生きづらい!?

『現代ビジネス』での作家の小野美由紀さんと、脳性まひの小児科医・熊谷晋一郎さんの対談記事『人が「病む」のは、属している組織が「病んでいる」から』の中で、興味深い内容を見つけたので、長くなるがまずは引用させていただく。

熊谷:今年、イギリスに視察に行って、主に精神障害の方の回復をサポートする取り組みをしている施設を見学したんですが、とても印象に残ったことがあります。

その施設では「その人が病むのは、むしろその人がこれまで置かれていた組織が病んでいたからだ」「その人が置かれている組織の構造に介入して、変えることの方が重要だ」といっていたのです。だいたいその患者だけが病んでいることはあんまりないと。

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小野:なんだか相模原の事件にリンクしますね。

熊谷:最も目立って困っている人だけを問題視し、その人に直接介入するだけでは意味がなくて、その人を取り巻く組織の構造を変えていくことで、間接的に困っている人の回復を支えていこうという取り組みを見てきたんです。

小野:それは精神障害だけじゃなく、いろんな面で言えますね。電通の過労死自殺とか、会社でうつになるのは、その組織自体に人をうつ病にさせる歪みがあるからで、その人が退職したところで、組織自体が変わらない限り、また新たに入ってきた人も同じことを繰り返す可能性がある。

熊谷:その中でいくつか組織を変えるためのポイントが、発表されていたんですが、例えば一つとして「責める文化をやめる」こと。

何か失敗をしでかしたり、規範から逸脱したりするような振る舞いをした人を責めることが習慣化しやすいのですが、そいった逸脱はありのままにシェアする。

そのときにどういうことが本人の中で起きていたとか、どういう前後関係があったのかということをみんなでシェアすることを、文化にしていかなければいけない。それが組織としてのパフォーマンスも上げるんだとおっしゃっていました。

人が「病む」のは、属している組織が「病んでいる」から

アメリカで活躍した伝説のユダヤ人コメディアンのレニー・ブルースは「この世が病んでおり、俺はそれを直す医者だ。この世の偽善をメスで断ち切る外科医だ」という名言を残したが、今ほとんどの国が病んでいると感じる。

数年来、メダカを飼育しているが、水槽という環境が病み出すと、次々とメダカが命を落としていった。

生き物は元来、環境の影響をダイレクトに受けるように設計されている。

今の日本で、これだけ生きづらい人が多く、心のバランスを崩す人が続出しているのは、日本列島という入れ物が病んでいるからに他ならない。

芸能人のスキャンダルが発覚すると、目の色を変えて一斉に憂さ晴らしをする人々などは、病んだ日本を象徴する存在だ。

熊谷さんがおっしゃっているように、失敗を責めるのではなく、当人の中で何が起こっていたか、どういった因果があったのかを冷静に分析し、みんなでシェアする方がよほど健全だろう。

コロナ禍で〇〇警察という私設取り締まりのような風紀委員的存在が自然発生したが、日本はまだまだ規範意識の強い村社会で、逸脱を許さない。

誰かを強烈に裁きたくなるのは、病んだ環境に身を置き、日々息苦しさを覚えているからではないだろうか?

生きづらさがデフォルトなこの国で、他責、他罰に走ることなく、平穏に日々を送れているだけで、その人は相当すごい。

ぜひ「病みかねない環境の中でよくやっている」と自らを賞賛していただきたい。

そしてnoteは、この日本で善良な優しい人が集いやすい稀な環境だ。


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