加藤諦三『逆境に弱い人』心の多重債務と魔法の杖を求める危険性

加藤諦三さんの本は、若い時に数冊読んでいた。大人になってから読み直すと、見る角度が変わるので興味深い。

今回、ご紹介する『逆境に弱い人』は、自己受容の大切さについて説かれている本。

不幸であることを受け入れた途端、エネルギーがわいて人生が開けるという内容に「なるほど!」と膝を打った。

不幸な状況であるにもかかわらず「自分は不幸ではない」と否認し続けていた過去が僕にもある。

認めないと前進できないというのは、自己受容の鉄則である。

近年、書店で売れている本のタイトルを見ていると「○○するだけで、あなたは××になれる」みたいな魔法の一冊みたいな強い言葉をやたらと目にする。

『逆境に弱い人』の中の「心の多重債務に陥るのを避ける」の項目で「辛い人ほど魔法の杖を求める」といった旨が書かれていた。

人生が辛くなればなるほど、一瞬で一発逆転できる魔法を求めがちだ。

本を売るのはビジネスなので、その需要を汲み取った本はまるで魔法のようなタイトルになるというメカニズム。

しかし、人生を変えるのは地道な積み重ねしかない。

そしてその一歩が自分の境遇を受け入れることであると、本書で書かれていたがその通りだ。

重要なことほど派手なことではなく、地味で地道なのかもしれない。

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