見出し画像

今日娘が入院しました④

あれこれ考えを巡らせていると、面会室に若い男性が入って来た。

「こんにちは、主治医の□□です」

開業医よりも若い…娘と歳が近いのは良いかもしれないけど大丈夫!?
でも、その心配は一瞬で消えた。
主治医の先生は、まず双極性の1型と2型について紙に図を書きながら、丁寧に丁寧に説明してくれた。開業医から病名すらも聞かされておらず、ネットで調べても確信が持てていなかった私は、娘が2型であることの再確認ができた。

そして、開業医から癖になる薬がかなり処方されていて、娘の将来を考えるとこれらの薬は良くないので、安全なものに切り替えていきますねと言ってくれたことで、この先生なら安心して娘を預けられると心から思えた。
この薬に対してもほとんどと言っていいほど開業医から何の説明も受けていなかった。薬の名前も早口でまくし立てる感じで、どういうお薬か聞いてもザックリとした答えしか返ってこなかった。当然、癖になる薬だなんて説明もなかった。
そもそも鬱病ということで薬の治療を始める時、開業医に「薬漬けみたいなことになるのは絶対やめて欲しい」とお願いしたのに、こんなことになっているなんて…ショックもあったが、今わかって良かったと思うしかない。今後さらに何年も飲み続けていたら、娘はもっと悲しみの淵に追いやられていただろうから。
主治医は聞き慣れない薬の名前をメモする私の為に、ゆっくりと何回も名前を繰り返し教えてくれた。

「薬を切り替えていくのも負担がかからないよう、徐々にしていきますから安心してくださいね」

本当に全てが丁寧な先生だった。
私が気になっていた娘の発達のことについても、先生は既にちゃんと視野に入れていてくださった。娘が中学の時に不登校になっていることも気になるので、いくつかの検査をしてみますと。その話を聞いていて息子もそのような検査を以前したことを思い出し、息子の結果がでこぼこだったので、兄妹ならその辺り似ているかもしれないと伝えると、先生もしっかりメモしてくださった。

先生のノートもメモでいっぱいになるくらいだから、かれこれ1時間は先生と話していたように思う。こんなに躊躇なく聞きたいことを聞けて、それにしっかり丁寧に答えてくださる先生も珍しい。大概の先生は切れのいいところで切り上げてしまうだろうが、この主治医の先生は私が納得して安心するまで話を聞いてくれた。

先生との話の後、担当の看護師さん、事務担当の方、カウンセラーの方と続けて話をした後、病室の娘の元へ。
ベッドに横になっていたが私の顔が見えるや起き上がり、

「もう帰りたい」
「寝っ転がってスマホ見てるだけなら、家にいるのと変わらんやん」
「入院して何の意味があるの?」

と、早くもぐずった子供のようになっていた。

「病気を治す為だよ、少しゆっくり休んだほうがいいの」

そう諭すと、娘は大きな溜め息をついてまたベッドに横になり、スマホを見始めた。

「お母さん家から荷物取って来るから、また後でね」

そう伝えて病室を出た。
時間はもう14時を回ってる。片道1時間かかるのに、面会時間終了の17時までに戻って来なきゃ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?