![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/37287156/rectangle_large_type_2_67b6b82e974546ec79ef5adf9a0b7a19.jpg?width=1200)
『俺の悪魔は色々たりない!白の祓魔師と首だけ悪魔 / 時田とおる』(角川ビーンズ文庫)を読んで。と『角川ビーンズ文庫』について、少し。
先日開催されたAmazonプライムデ―で『FireHD8』と『EchoDot』を購入しました。Kindle Unlimited と Amazon Music にも体験入会し、しばし流行りの洋楽を流しながら、本の読み放題を楽しんでおります。
こんにちは。自称読書好きの春風ともうします。
『FireHD』の購入目的が『BOOK☆WALKERを快適に読むため』だったので、Unlimitedをずっと使い続けることはなさそうですが、キャラクター文芸は『マイナビファン文庫』と『TOブックス』が読み放題そうでした。PrimeVideoと同じく、検索がしづらいのが難点かな。存在を知らない本が探しにくいです。映画のサブスクは断然 Hulu か Netflix な人です。
というわけで今回は、『BOOK☆WALKER』で見つけた『俺の悪魔は色々たりない!白の祓魔師と首だけ悪魔 / 時田とおる』 (角川ビーンズ文庫) の感想を書いていきたいと思います。
この作品を選んだ理由がもうひとつあって、時田とおるさんの新刊、『彩柏寺の神様見習いたち 元保育士・小森新、あやかし保育に再就職しました!』(富士見L文庫) の感想を、発売直後のこの時期に書いてしまってもいいのかどうか悩みまして、とりあえず、時田とおるさんのデビュー作から書いてみることにしました。
―― 注意 ――
・感想を書くにあたりこの記事内では作品の内容に関わる #ネタバレ をある程度しています。事前になにも知りたくない方はご注意ください。
◇俺の悪魔は色々たりない! 白の祓魔師と首だけ悪魔 / 時田とおる
(あらすじ)「ガキ、俺と契約しろ」右目を代償に、首だけの大悪魔・サブナクと契約した少年イト。イトは祓魔師として働く傍ら、サブナクの体を探すはめに!! 赴任先は、天然お花畑な眼鏡司教様(でもS)や、空気の読めない発言を連発する見習い神父たちとくせ者揃いで!? 「愛してるぜ、イッちゃん」「気色悪い事言うな!」第10回ビーンズ小説大賞奨励賞受賞・ビーンズ最凶の問題児集団が放つゴシック退魔ファンタジー、開幕!
◇噂はかねがね、角川ビーンズ文庫
『まるマ』を履修しなかった人生だったのですが、『角川ビーンズ文庫』の噂はかねがね耳にしておりました。『今日からマ王!』シリーズのことです。『まるマ』は「BLではないけど、ギリギリのライン」の象徴的作品です。
角川ビーンズ文庫で、かつて存在した傾向でもあります。「イケメンに美少年、と男ばかりがわちゃわちゃしてるけどBLじゃない。女子が出たとしても、あくまで脇役で、恋愛もしない」みたいな。
ただ『まるマ』のような作品は、最近ではしばらく発売されなくなってしまったようです。いまでも続いている『少年陰陽師 / 結城光流』シリーズと、昨年末発売した『音風シンドローム 鳴らせ、運命のイントロダクション / 石川いな帆』くらいで、メインのラインナップはほとんど少女小説になってます。
わたしの読みたい小説のジャンルが、「BLじゃないけど男ばかりが登場して、恋愛もしない」なので、角川ビーンズ文庫も読んでみたいな、と思っていたのですが、なかなか実現せずにいました。発売が5年以上前の作品となると、新品が手に入りにくいです。古本では買いたくないですし。
なので電子書籍! なかでも読み放題の対象になってくれていると大変ありがたい! ので、『俺の悪魔は色々たりない!』は、読むなら今です。
◇著者は、時田とおるさん
Twitter や Webサイトなど、見つけることができませんでした。わたしは作家さんの Twitter を積極的に見ないようにしてるので(作品の非現実を味わいたくて、ですね)SNS やってなくてもアリだと思います。
あとがきにある情報では、第十回角川ビーンズ小説大賞で奨励賞を獲得した作品を改題・改稿したものが『俺の悪魔は色々足りない!』だそうです。ので、特には別名義で活動してるってこともないんじゃないかな。
装画・挿絵は、サマミヤアカザさん ( @samamiya )。どこかで見たことがあるぞ。『妖狐の執事はかしずかない / 古河樹』(富士見L文庫)と『新宿歌舞伎町の宵町花店 花束には悪意をそえて / 佐藤とうこ』(メゾン文庫) でした。
透明感のある絵が印象的。美形過ぎて、この世の存在とは思えないような美男子を描かれる方で、『俺の悪魔は色々たりない』は2012年なのですが、当時から全然イケメンです。#語彙力
挿絵と人物紹介一覧ページ (人物イラスト付き) があるのは、ティーンズ小説の特徴に感じます。キャラクター文芸ではなかなか挿絵付きは見かけないので、お得感があります。挿絵なくていい派だけど、サマミヤアカザさんの絵なら嬉しい。
◇登場人物
・イト
サブナクと契約した祓魔師。深い青の瞳に艶やかな茶髪。年の頃は16歳か17歳ほどの少年。誰だかに住んでた村を襲われて、両親を殺されたが、首だけ大悪魔のサブナクと契約して生き延びる。アスセナ教会に所属する神父。形見の刀で戦うかわいこちゃん。サブナクにとにかく愛されてる(※注意:これはBLじゃありません)。が、イトはサブナクを愛していない。残念、サブナクの片思いだ。……………………けれど……………………1巻の終わりに、おやあ………………?? なことは、ちょっとだけある。(※注意:これはBLじゃありません)
・サブナク
大昔に世界を滅ぼしかけたという大悪魔。それが約5000年前の出来事なので、イトは「オッサン」と呼ぶけれど、見た目は二十代半ばから後半。「肉食獣を思わせる」と表現されちゃう長身の顔はとにかくめちゃくちゃイケメンの首だけ悪魔様。首から下は5000年前のおいたのせいで封印されちゃった。イトに封印を解いてもらってからは、首から下の体はヤバイことしてなんとかしてる。大悪魔だが、首だけだと人間界では力を発揮することができないので、イトと契約してイトの瞳を媒介にして魔力を使う。イトをとにかく愛している。(※注意:これはBLじゃありません。が、サブナクは、だいぶあやしい)
◇この大悪魔、色々「なにが」足りないのか
ナニが足りないどころか、ナニはなさそうです。(大変失礼いたしました)
ナニもなにも、まず足りないのは「首から下の体」の全部。一応、1巻の最後で指先だけ見つかりました。シリーズは4巻まで出ていて(完結してるか不明)、今後はイトとサブナクで、サブナクの体を探すのが目標のシリーズなんじゃないのかなと思います。イトがそういう契約「サブナクが力を貸す。代わりに彼の体を探す」を結んでいるので。
◇第一に、『節操』は足りなそう
サブナクになにが足りない。首から下よりも深刻なのが『節操』だと思います。
「愛してぜ、イッちゃん」と裏表紙のあらすじに紹介されているとおりがそのままの彼がサブナクです。お気軽に「愛してる」「ハニー」と言うし、「可愛い」とも言うし、イトが気絶すればキスで起こそうとするし(未遂に終わりますが)、こいつの貞操観念はどうなってるのかな、と疑問に思ってしまいがちです。悪魔が男女間で生殖活動をする種族なのかが不明なので、なんとも言えないのですが。
なので、節操は確実に足りなそうです。
◇BL嫌いの人が読むと怒りそうかな?
よく見るんですよー。「BLならそう言っておけよ!(怒)」ってよくわからない批評。「いやいやBLじゃないでしょ」って思うのが大抵です。
まぁ、BL嫌いな人なら、この表紙はそもそも手に取らないと思うし、確率的には隕石に当たるようなものなはず、ですので。(当たり屋は別!
『BLなら言っておけ理論』が通用するなら、わたしも『男女が恋愛するなら言っておいてほしい』とは……思いません。自分自身で注意します。
BLじゃないけど、ほんのりBLっぽいのが好きな人、に向けた小説。『俺の悪魔は色々足りない!』も、そんな小説だと思います。わたしはただ、もっとほんのりのほうがいいかな? でもこれはこれで面白いので、全然読みます。
◇なにより、読みやすいので
読書は好きですが、読書が得意ではありません。ので、読みやすい小説というのは、本当にありがたいです。読書が得意な読書家さんでも、今日は疲れてるからサラっと読める小説がいいな、ってときがあると思います。そういうときは、ティーンズ小説をオススメしたいです。
『俺の悪魔は色々足りない!』は、大っっっっ変、読みやすかった。ほとんどの事柄が、そのままに表現されています。想像しやすい、理解しやすい。なのでキャラクターや彼等のやりとりに集中できる。素直な気持ちになれる小説だと思います。
悪いことも書いてないです。まぁちょっと、パルティータさんの借金王かつ借金踏み倒し王っぷりが、人としてどうなん……? って感じではありますが、イトもサブナクにはツンツンしてるけど(ツンツンしてないと逆に大変なことになるし)基本はいい子です。サブナクもイトのこと大好きだけど、イっちゃんLOVEは彼のアイデンティティでもありますし、悪い奴ではないですし。アインザッツもフォルネウスを懐柔するし、プロケルも死なないし。
イトが最後にサブナクを認めるんです。サブナクの存在に孤独を救われていたことを。いやぁ……ごちそうさまでした。
こんな作風で読者の心を、悪い方向にえぐってくるようなこともないと思うので、これから先の巻も安心して読んでしまっていいと思いました。
唯一、謎を感じた部分は、パルティ―タさんがサブナクに「お前からは女の匂いがしねぇ」って言われていたこと。気になる。魔法かなにかで性転換していたりするんだろうか?
◇外部リンク
◆後記
ちょっと前の作品なので、手短な感想に。4巻まとめてにしようかと思ったけど、読書が遅いので、ごにょごにょ。
まるマみたいなのが読みたい人は、今だと、二見サラ文庫を読めばいいと思う。
KADOKAWAは画像使用許可が取れなさそうなので、ある意味記事がバンバン書ける。(許可待ちの時間がないので)