寂しくてしかたがなかった大学時代にずっと聴いていたSyrup16gの音楽、そして再度「着ぐるみ」の話

僕は毒親育ちの影響で、寂しがり屋です。
とくに大学生のときが人生の中で最も強く寂しさを感じていたと思います。(今も寂しいけど)

その時期に狂ったように聴き続けていたのがSyrup16gという、スリーピースロックバンドの歌でした。


どういう種類の寂しさ、孤独を感じていたのか

一口に寂しさといっても、いくつか種類がありますよね。

僕は授業にしろ課外活動にしろ、ほとんどいつも誰かと行動を共にしていたので、この場合の孤独とは友達がいない孤独とは違うのだと思います。

その寂しさは、様々な要素が複雑に絡み合い相乗的に響き合っているので言葉にするのは難しいのですが、
誰といても「自分とこの人は同じ種類の人間であり仲間である」とは感じられなかったんですよね……。


絶望的かつ破滅的に重く、しぬほどつらかったなぁ。

食事もあまりのどを通らなかったので、当時は痩せていました。今は標準体重くらいになりましたが。


※寂しさについては、ある角度から光を当てて(いろんな切り取り方、語り方が考えられます)、小説の形にして一度じっくりと向き合っています。向き合いきれているかはわかりませんが。
興味がある方はどうぞ。ちなみにこのnoteアカウントの初記事がこの小説「ベスト・フレンド・エンド」です。10分くらいで読めます。


Syrup16gの歌に支えられていた

彼らの歌は、励ますのでもなく、前向きになれと言うのでもなく、ただいっしょに苦しんでいる。

僕にはそんな風に感じられて、そんなところが良いと感じます。

他人を(自分の価値観のみを前提として)変えようとしない。何も押し付けないし、何も奪わない姿勢。受容的な歌詞。

I want to hear me
生活はできそう?
それはまだ
計画を立てよう
それも無駄

(syrup16g「生活」より引用)


彼らの歌の中でも、「I.N.M」という曲のこの箇所がいちばん好きでした。

次の問いのまたその後の
決してほどけない知恵の輪の
語りつくされた物語
書き写すだけはもうしんどい

(syrup16g「I.N.M」より引用)


僕はおととい、「着ぐるみ」探しをあきらめて、同じように生身の誰かを探し始めた日というエッセイを投稿したのですが、歌詞のこの部分も「着ぐるみ」の問題であるように自分には感じられます。

自分にとっては、黙ってひたすら役割(大人、職業、集団の中での立ち位置、親や子供、男や女など)に徹し、
その効率の良さを絶対的に追い求めるということが、「決してほどけない知恵の輪の語りつくされた物語」を「書き写すだけ」に感じられるんですよね。

しかもそれは次第に過酷さを増し、きりがない。決してほどけない。


別の言い方をするなら、舞台の上でチープな演技をしているみたいな感覚になる。それも何度も何度も好きでもない同じ演目を。


そこには自分がいなければ、人間もいない。

交換可能な存在に接近している。個別性を放棄する方向へと向かっている。


何が正義なのか、何が世のため人のためになるのかという話はたくさんしてきたよね。
じゃあそろそろ、一人の人間として、等身大の自分として、本音の話をしないか。


こういう世の中の価値観って、10年か30年か50年かはわからないけど、それくらいの時間で変わりえる「風潮」や「流行」であり、それが過ぎ去るとほとんどナンセンスになってしまう。

むかしは流行っていた奇妙なファッションのように。


特定の時代・特定の場所に依存した歪んだ価値観によって「お前はみじめな粗悪品だ」という評価をなされた人へ、
「本当は何も間違っていないし悪くもない」と伝えるのが、アートのひとつの可能性なのかなと思っています。

(音楽ならロックやヒップホップを想像するとわかりやすい。やり方はいろいろあると思います。真正面から行くのがすべてでもない)


自分の観点をもたず、雰囲気に流され、悪くないものを悪いと判断して見下している人とのあいだに僕は溝を感じるし、そういう人との関わりに僕は疲労と孤独を感じる。そうじゃない人たちと繋がっていたい。


僕は多くの人が当たり前にやっていることが割と苦手だったりもするけれど、そのぶん自分にしかできないことがあるはずだと信じています。
コピーは苦手だけどクリエイトならできるみたいな感じ。

僕らがやっていること、やっていきたいことは、経済的な効率という正義の前にはもろくも打倒されてしまいそうになるけれど、ほんとうはめちゃくちゃ大事だと信じています。


自分という存在が、自分の書いてきたものが、ほんのわずかでも誰かの心の支えになれたり、勇気を与えられたらいいですね。
あの苛烈な日々のSyrup16gのように。

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Haruki-UC
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