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2020年に詠んだ短歌まとめ

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(二年目)
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2020年7月の記事一覧

短歌連作『剥き出しの傷だけに咲く青い花』30首 ―2020年上半期の自選も兼ねて

歩を止めた走者の頬の一滴が為した川へと流す灯籠

剥き出しの傷だけに咲く青い花だけに安らぐ手負いの小鳥

サーモグラフィーが君の温度を35.9℃(ごどくぶ)と告げてはじまる僕たちの夏

一本の口紅くらいではじけ飛ぶ一貫校のきれいな廊下

おんな泣く「男子うたって」全員の前できっちり五滴をおとす

人の為と書いては偽とした部室 おもい描けばセピアの写真

放課後の上履きワルツは全滅しダイヤ厳守の軍靴

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短歌「村人Cのようなリピート」 11首

短歌「村人Cのようなリピート」 11首

友情と努力を謳う主人公がぶっ飛ばす悪とともに消ゆ我

どの駅のどのホームから飛び乗れど奇跡は起きぬ定時運行

その歌手は知らないけれど「十代のカリスマ」と呼ぶテレビがきらい

「若いから苦労を知らず無知である」村人Cのようなリピート

選べずに蜘蛛が巣を張り選ばれず誰かへ叩きつけた「選ぶな」

「ゆとりは馬鹿」「絶対こうするべきだから」あなたの言葉あなたの世界

ぎちぎちに火薬抱える人だらけ火花散

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