けむりのとばり
寄りかかるものを探していた
それはすっぽり木陰で安らぐ時に
風に揺れる小さなこもれびが降り注ぐように
隙間を埋めるものを探していた
寒い夜にストーブで温まりながら
バニラアイスをゆっくり舌で溶かすように
頭では分かってる
そんなものは、どこにもありはしない
誰かに求めても埋まるわけはない
どうしようもなく
すり減って、すり減って
ひさびさのこのからっぽを
何処にかえればいいか分からないまま
寄りかかるものを探してしまった
最後はひとりで歩くしかないのに
隙間を埋めるものを探してしまった
いっときの幻想でしかないのに
マッチでそっと火をつける
もろく細長い金木犀の香に
ふっと息を吹きかけると
ゆっくり部屋に行き渡る煙
風に揺れる小さなこもれびが降り注ぐように