特撮こわい(?)
今回は、なにかと共通点の多い特撮(?)2作品、『シン・ウルトラマン』と『8日で死んだ怪獣の12日の物語』を観た感想です。
『シン・ウルトラマン』
少し前のことになりますが、いまさらながら『シン・ウルトラマン』を観ました。内容については、もういいですよね。
序盤、ウルトラマンが「未知の異星人」らしく気持ち悪く描かれていることにとても好感を覚えました。でも、中盤以降は見慣れちゃって普通だったかなという感想です。だからって終盤に向けて気持ち悪さを(少し上向きにすることで)維持されても困りますし、昔の作品のリメイクの難しさを感じました。
ええ、こちらの見どころがおかしいのはわかっています。でも、ちょっと怖い、ちょっと気持ち悪い、といったネガティブな要素もほしい気がするんです。いきなり「強い、かっこいい、スマート」より、はじめは怪訝に思うようなものを、受け入れる過程を楽しみたいのです。
ま、今そんなことを言えるのは(一応)大人になったからなんですけどね。
ぼくは子どものころから超怖がりで、特撮全般がNGでした。いわゆる「戦隊モノ」すらダメですからね。怪人の動きが不気味で……。あと、名前は出しませんけど、顔が昆虫のやつ! あれは最初から無理に決まっているとわかるので未だに一度も観たことがありません。
夕方の再放送で『ウルトラマンA』や戦隊モノを観終わると、日が暮れていて。両親の帰宅はもう少しあとなので、ぼくが雨戸を閉めなければいけなかったんですが、庭に誰かいるような気がしてすごく不安だったんです。
「普段は、人間サイズ」というのが特にダメなんですよ。だって、いそうな気がするじゃないですか。
そういう意味では、ゴジラとかウルトラ怪獣は巨大ですから、ひっそりいつの間にか家の外にいたりはしません。これは、怖がりにとってとても重要なファクターです(大袈裟)。だからゴジラ、ガメラ系は大丈夫なんですが、ウルトラシリーズは宇宙人がはじめは人間サイズだったり、序盤の物語が「ちょいこわ」のことがよくあったので、あまり観ませんでした。
ただ、『シン・ウルトラマン』の制作が発表されて以降はCSなどでウルトラシリーズを扱う機会が増えたので、『ウルトラセブン』や『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』を観てみました。いや~良かったですよ、どちらも。きっと熱心なファンの方は「それと比べてあげないで!」と言いたいでしょうけどね。熱心なファンがいる、という理由がよくわかりました。
ひとつ疑問に思うのは、主要な役どころに超有名俳優が起用されていること。日本のドラマはかなり高い比率でコメディになっているので、有名俳優出演による「画面のウソっぽさ」が許されていますが、シン・ウルトラマンはそういうんじゃないですよね。ぼくはかなり気持ちが遠巻きになったのですが、みなさんはそうでもないのでしょうか?
『8日で死んだ怪獣の12日の物語』
さらにもう少し前のことになりますが、『8日で死んだ怪獣の12日の物語』を観ました。
2020年7月公開の本作は、コロナ禍の巣ごもり生活が続くなかで流行した『カプセル怪獣』をとりまくお話で、樋口真嗣さんら複数の監督によるリレー動画企画『カプセル怪獣計画』の一作(番外編)です。ややこしいんですが、本作の監督・脚本は岩井俊二さん。樋口監督は企画発案者のひとりで、本作にも出演はしています。
本作の『カプセル怪獣』は、「コロナをやっつけてくれる」ということで人気だという設定。カプセル怪獣をネット通販で手に入れた主人公タクミが「カプセル怪獣の育成報告をネット配信する」「Zoom的なリモート会議で友人らと情報交換する」という体裁になっており、ほぼ全編リモート撮影による会話劇として物語が進みます。一種のシチュエーションコメディと言って良いのではないかと思います。
そして本作も、主人公タクミを演じる斎藤工さんのほか、のん(能年玲奈)さん、武井壮さん、穂志もえかさん、樋口真嗣さんが出演。有名人揃いです。ただ本作では、動画配信者タクミや樋口監督(役名)など「ひとに知られている人物」を演じているため違和感の少ないつくりになっています。
なお、タクミはカプセル怪獣を購入しますが、のん(役名)が手に入れたのは「宇宙人」。それぞれの「育成報告」を通じて物語が展開していきます。
いわゆる怪獣映画とは異なるマニアックな内容ですが、もし「シン・ウルトラマンにはピンと来なかった」という人がいれば、こちらを勧めてみるのもいいかもしれません。ぼくはこの作品、好きです。