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ネトゲ寄りメタバース

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ネットゲーム寄りのメタバースに関連する話題です。
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#MMT

ドラクエ経済はギャンブル式?(後編) ~メタバース経済考

不評な記事の最終回です(自虐)。いいもん! ギャンブルのように小さな金額を繰り返し費やしていくことと、ゲーム内のアイテムの価値が短期的に移り変わり安定しないことから、ドラクエ10(ドラゴンクエストX)の経済では先行きを見通せず、「その日暮らし」に近い生活を求められる「圧」を感じます。 でも、これが意外なところでMMTやベーシックインカムに重なることに気付いたのです。しっかり、まとめます。 一億総中流社会、昭和の名残り?ドラクエ10では、簡単な「日課」で小さくない金額が与

死とベーシックインカム(後編)~メタバース経済とMMTを考える

MMORPGの経済・社会を通じてベーシックインカムの可能性を考える話の最終回です。直接お金を配るのとは違うものの、生活を下支えする意味でベーシックインカム的な要素のうち、今回は残り2つの仕組みを紹介します。が、その前にちょっと寄り道をして、関連要素としての"住宅事情"を踏まえておきたいと思います。 MMORPGの住宅事情に学ぶMMORPGはその元祖である『ウルティマオンライン』(UO)の時点で、空き地に家を建てられるシステムがありました。そのため、「MMORPGでは家を建て

死とベーシックインカム(中編)~メタバース経済とMMTを考える

さて今回は運営開始から20年が過ぎたMMORPG『FINAL FANTASY XI』(FF11)の世界にある"ベーシックインカム的なもの"を見ていきます。 ここで紹介する"ベーシックインカム的"な仕組みは3種類あります。それぞれ個別の仕組みについては「こんなのがベーシックインカム?」と疑問に思うかもしれません。しかし、この3種の仕組みのおかげで、ぼくは今FF11で意識的に金策をすることはほとんどなくなっています。 他のMMORPGやスマホゲームなどにもそれぞれ似たような仕

死とベーシックインカム(前編)~メタバース経済とMMTを考える

「人が集まってこその社会である」という視点を重視して、広義のメタバースのなかでも歴史と実績のあるMMORPGに学んでいくシリーズの続きです。 MMORPGの世界では、ただ人が集まっただけでなく、ときに声をあげ、運営者がそれを無視せずにコミュニティをアップデートしてきました。人々の知恵と本音が渦巻くその場所には、硬直しきった現実社会を建て直す多くのヒントが隠されているのです。これまでもこのシリーズの記事で触れてきたように、"ベーシックインカム的なもの"も導入されています。

ベーシックインカムの前にオフゲ経済推進(後編)

オフゲ(主にオフラインRPG)によくある「最後には使いきれないほどのお金が貯まってしまう経済」を、日本人は求めてしまい、無意識に推進することで経済を循環させられなくなっている――でもそれを否定するのではなく、うまく"調整"できないかを考えてみようという話の2回目です。 今回はオンラインゲームの経済を参考にします。「オフゲ経済の話なのに、ネトゲ経済を参考にする?」と疑問に思うのは当然です。ただ、ネットゲームは部分的にオフゲ経済を内包している場合があるのです。 昨年20周年を

ベーシックインカムの前にオフゲ経済推進(前編)

ちょっと間があきましたが、ネットゲーム(メタバース)の経済を現実に導入できるかを考える記事の続編です。次はベーシックインカムをテーマにしたいのですが、そのまえにちょっと寄り道してオフゲ経済(オフラインゲームの経済)も実現できないかを考えてみることにします。 すでに推進されているオフゲ経済「こら待て、ネットゲームの経済を実現するというだけでも荒唐無稽なのに、破綻前提のオフゲ経済なんて度が過ぎる!」と誰もが思うでしょう。 たしかにオフゲ(主にオフラインのRPG)における通貨は

『現実』とは公務員が作ったゲームの名~メタバース経済とMMTを考える

今日も働きたくない人が書く経済の話、第一部・最終回です。 前回、溢れたお金の回収手段について、「(現実の日本社会では)広く"皆から回収"されていますが、さすがにFF11はそんな愚かなことはしなかった」と書きました。今回は、その続きです。 プレイヤーが成長して行動範囲が広がると、移動距離が増え、チョコボ搭乗料金や飛空艇搭乗料金ぶんの貨幣が以前より多めに回収されるようになります。ただし、これらはもともとあまり高額ではありません。 「納得感」を大事すると、サービスが変わらない

「格差社会」は納得のうえで生まれる~メタバース経済とMMTを考える

仕事じゃないけど仕事のような力の入れ具合で書く記事(?)の4回目です。今回で区切りをつけようとしたのですが長くなりすぎたので、次回で第1部完結とするつもりです。 今回は、これまでも例としてきたMMORPG『FINAL FANTASY XI』(FF11)の経済の変遷について探っていきます。 いわば「古代」の経済さて、以下は前々回にも掲載した、FF11の過去の経済をさらに初期と中期に分割したものです(少し修正しました)。 まずは、右の「初期」から見ていきます。 運営開始初

日本経済を建て直せるのはゲーム開発者!? ~メタバース経済とMMTを考える

「メタバース経済とMMTを考える」、前回の序文に続く2回目です。 今回は、前回示した『FINAL FANTASY XI』(FF11)の経済図をもとに、ゲーム内経済におけるお金の流れを見ていきます。図は今回の記事タイトルにもしてあります(少し修正しました)。 なお、ここで大切なのは「お金が安定して流れていくこと」(を確認すること)です。図には「現在」と「過去」とがあるように、FF11は20年の歴史のなかで経済の仕組みが変化しています。過去の反省をもとに、現在があり、ぼく自身

メタバース経済とMMTを考える(序文)

今回の記事は、以前書いた『無税社会は可能か?』の続きといいますか、メタバースやオンラインRPGをベースに"経済"をもっとまじめに考えていくものです。文章で「あーだ!」「こーだ!」というだけでは読み手を煙に巻くようなものになってしまうで、今回は図版を交えつつやっていくつもりです(ただ、図版を作るのにも時間がかかるので、断続的なゆっくり連載になるかもしれません)。 MMT理論についても考えるさて、今回はまた、税金や経済の話になるとよく話題にあがる「MMT理論」についても念頭に置