なぜ我々人間は料理をするのか
我々は生きるために、料理をする。
我々は美味しく食べるために、料理をする。
我々は交流のために、料理をする。
どれも正しいです。料理というのは、我々に様々な効能をもたらしてくれます。料理することが普通になった今の時代では実感しにくいでしょうか?
類人猿は、起きている時間の80%を咀嚼に費やしていたといわれています。これが大きく変わったのは、100万年に火が使われ始めてからです。火で料理することで、消化にかかる時間が大幅に減りました。現在は、消化に費やしている時間は、起きている時間のわずか5%です。
咀嚼に使っていた時間を思考に費やすことで、現在まで科学が進歩しました。今回は、料理をすることのメリットについて科学的な内容を含めてお話ししたいと思います。
我々は生きるために、料理をする。
安全に食べるために、料理をします。加熱によって、食べ物内の細菌と細菌が作る毒素が破壊されます。生肉や生魚が良い例です。現在では、加熱温度と時間によって、どの細菌が安全ラインを満たすかがわかっています。例えば、食肉だと63℃で30分が安全に食べられる加熱温度と時間になります。(食肉の法定加熱条件)
我々は美味しく食べるために、料理をする。
安全のために加熱しすぎると、焦げて美味しくなくなります。一方、肉やナッツの表面を多少焦がすと、香ばしくて食欲をそそる香りが感じられます。このような香りを出す反応を「メイラード反応」といいます。食べ物の中のタンパク質が変化することで、少し焦げた時に魅力的な香りを出します。
料理には、美味しく食べるための効果が含まれています。例えばインドでは、食欲増進のためにスパイスを使っていたという歴史があり、現在もスパイスが多く使われています。昔は、食欲のなさが栄養不足に繋がり、死ぬ可能性もありました。美味しく食べることも一つの生存戦略なのでしょうね。
我々は交流のために、料理をする。
他人と食事をすると、健康になると言われています。人は集団で生きる生物なので、周りの人との交流は大事です。その交流で重要な役割を果たすのが、食事です。心理学の実験によると、同じ食べ物を食べた人はそうでない人に比べて、相手への好意が上がっていたそうです。食べるという行為も一種のコミュニケーションツールなのでしょう。
今回は、料理についてお話しました。料理といってもただ作って食べるだけではなく、たくさんの意味があるのです。毎日の食事を少し意識して楽しんでみましょう。
参考:料理の科学大図鑑 スチュアート・ファリモンド
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