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グチらない、威張らない、ご機嫌でいる:『年上の義務』レビュー
会社員でもなく、友達も少ないので、人と関わる機会があまりない今日この頃。
ふと目に飛び込んできたのが本書『年上の義務』です。
あまり人と接する機会がありませんが、すこし気になったので手に取ってみました。
そして、自分が会社をやめた理由を思い出しました。
それは、あこがれの先輩や上司が、会社や身のまわりにいないこと。
著者は、「かつての年上は我慢強く、後輩の成長を守り、背中で教え、最後の責任を自ら多い覚悟ができていた。ところが今では、様々なものが摩耗して、思考停止の倦怠の空気の中、年上たるものこうありたいと言う理想が消えかけている。」と指摘しています。
そんな年上になっていないか自分を戒めるためにも、今回は、本書から学んだ3つの視点をご紹介します。
1. 現在の若者は心底大人に絶望している
サブカルチャーから、時代の空気を分析する著者の手腕はさすがです。(著者のYouTubeチャンネルも、語り口が分かりやすいので、ぜひみていただきたいです)
かつてのドラマ『金八先生』では、時代の空気に流されず、自分で自分の考えを持てる年長者が描かれていました。
漫画『スラムダンク』では、もっとも傍若無人な主人公でさえ、年上には敬語を使おうとする姿勢が見られます。
しかし、現代の若者は、大人にがっかりさせられることばかりが続いています。
とくに、自分の親に失望した経験を持つ若者は少なくありません。
この事実を反映して、2000年代以降の漫画やアニメでは、大人は滑稽な存在として描かれることが多くなりました。
大人を「古い人」や「欲望の塊」と見なし、年上の存在を軽視する風潮が広がっています。
千と千尋の神隠では「豚になる者」が描かれ、暗殺教室では、ついに教師が宇宙人になるまでに至っています。
2. 威圧的な年上に出会ったら?
もし、自分の上司や先輩が威張る人だった場合、どうすれば良いのでしょうか。
著者は、威張る人は「じつは怖がっている」のだと説きます。
それは、その人が生まれながらに威張っているのではなく、過去の辛い経験からそうなってしまった可能性があるから。
そのことを理解したうえで、威圧的な年上に出会ってしまった場合は、「フォレスト・ガンプ」的な対応をすすめています。
つまり、1ミリの口答えもせずに、イエス・サー、ノー・サーと従順にしたがいつつ、受けながすことです。
この人は辛い経験をしているのだと理解し、やり過ごせば良いのです。
思い返せば、自分もパワハラ上司に接するときは、感情を一ミリも表さずに、非人間的に対応しており、あのときの対応は正しかったのだと納得。
3. グチらない、威張らない、ご機嫌でいる
さて、それでは実際に、年下に見下されないように、年上の人はどのように振舞えばよいのでしょうか。
それが、「グチらない、威張らない、ご機嫌でいる」の3点です。
グチを言うと、聞かされる人は不快に感じてしまいます。
威張らずに年下の話を聞けるというだけで、人は尊敬されます。
また、機嫌はまわりに伝染するため、自分がどのようにすれば気分が良くなるのかを自覚しておくことも大切です。
著者の場合は、気分転換の方法として、部屋にこもったり、ホットヨガに行っているようです。
まとめ
世代間でのミゾが深刻な現代。
年下の人たちとの人間関係を円滑にするためにはどうすれば良いのか、『年上の義務』はその答えを示唆しています。
もし、すべての大人が本書に書かれていることを実践できていたら、「老害」という言葉をなくすことができるかもしれません。
とくに部下を持つ上司、後輩を持つ先輩、子供のいる親などの人は、一度読んでおいて損はないと思います。(そしていずれ「年上」になるであろう、いま年下の人も…)
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