ほっこり絵本 『ワニのライルは会社の人気者』
動物が擬人化された物語に、なぜか目がひきつられます。
こどもの頃は『サルカニ合戦』や『カチカチ山』を楽しみ、その後は『クマのプーさん』や『スヌーピー』も楽しみました。
人間はむかしから動物の擬人化を行っており、「アリとキリギリス」や「北風と太陽」といった有名な話をふくむイソップ物語は、なんと紀元前に生まれています。
動物の比喩によって、人間の生活に馴染みの深いできごとを見せ、教訓をおしえる物語は「動物寓話」と呼ばれており、ルネサンス期のイタリアでも、貴族や権力者のパーティーの出し物として、動物寓話が披露されました。
あのレオナルド・ダ・ヴィンチも、パトロン(支援者)を得るために、そういったパーティーの場で動物寓話を読み上げたといわれ、彼の手記にはいくつもの動物寓話が残されています。
先日、本屋でたまたま出会った本書も、動物が擬人化された不思議な魅力をもった絵本で、読むとほっこりする物語でした。
主人公のライルは愉快なワニ。
ライルはみんなの人気者で、ぜひうちで働いて欲しい!といろいろな人に頼まれます。
しかし、一緒に住む同居人のプリムさんは、ライルは見せ物ではない、と頼みをすべて断わります。
そんなある日、ライルはプリムさんが働く会社を見学することになるのですが……
著者のバーナード・ウェーバーのことはいままで知らなかったのですが、アメリカのフィラデルフィア生まれで、このライルシリーズ(全8巻!)が代表作です。
本書はシリーズの7冊目ですが、1作目の『ワニのライルがやってきた』が一番人気のようです。
主人公のライルはワニですが、とても表情豊かで見ていてあきません。
ライルを受け止めてくれる暖かい人々の元で、ライルは伸び伸びと生活しており、彼の多様な感情が伝わってきます。
あまり知られていない本ですが、この本をとおしてどんどん視野が広がっていくのを感じました。