2023年ベスト本特集(実用12選): 心をゆさぶる本たち
今年はさまざまな本を読みました。
とくに印象深いのは「現実と真摯にむきあう力強いメッセージ」を秘めた本たち。
これらはまさに、言葉の魔法がやどった秀逸な作品。
そのページをめくるたびに、言葉がつむぐ魅力的な世界に引き込まれました。
そして、新しいアイデアや視点に触れることで、驚きにつつまれました。
この記事ではそんな本たちのなかから、各ジャンルごとに厳選した、実用的な「Top3のベスト本」をご紹介します。
書くこと
1.『自分の意見で生きていこう』
社会派ブロガーの「ちきりんさん」による本。
「正解のない問題」にたいして、「自分の意見」をつくる方法を学べます。
本書では、AIによる仕事の変化がすすむ未来において、「自分の意見」がますます重要になることが強調。
そして、同調圧力が強い日本社会において、異なる意見を持つ難しさを指摘しつつ、いかに乗り越えるかを教えてくれます。
さらに、「正解のない問題」にたいする自分の意見形成の重要性や、自分のポジションを明確にするためのステップが開陳されています。
また、SNSをつうじた発信が「自己肯定感」を高め、社会的影響をあたえる面についても言及。
おおくの人が本書を手に取り、日本で「異なる価値観が尊重される文化」がきずかれることを願っています。
2.『簡潔で心揺さぶる文章作法』
SNS上での表現に悩む人や、小説家にとって有益な一冊。
島田雅彦さんの本書は、SNS時代の自己表現にフォーカスしています。
技術よりも「マインドセット」を重視しています。
現代の「平準化と情報化」に対抗するためには、個人が孤独を受け入れ、「オーラを発揮」することが重要だと論じています。
また、ニーチェや他の哲学者の短くわかりやすい文章(アフォリズム)はじつは、ツイート集であると主張。
彼らが独自の表現スタイルを確立した理由が明らかにされています。
本書では、散歩や、寝ているあいだにみた夢の記録、アフォリズムの改変といった、自己表現のトレーニング法も提案されています。
3.『ルポルタージュの方法』
古いながらも印象ぶかい一冊。
著者である本多勝一さんは実績豊富なルポライター。
本書ではルポルタージュにおける方法や魅力について、力強い言葉でかたっています。
フィールドワークの経験から得た知見をつうじて、「表現せずにおれない、せっぱつまったもの、ひたむきなもの、不正への怒りさえ持っていれば、技法なんておのずと会得できる」との言葉が印象的。
取材においては熱意や興味、そして対象への尊重や共感が不可欠とかたり、実践的なアドバイスもおしえてくれます。
読み物としてもたのしめ、ルポルタージュの重要なガイドブックとして、モノを書くうえでの指針として広く役立つ一冊。
読むこと
1.『百冊で耕す』
今年読んだ本で、もっとも熱量が高かった本。
本書は『三行で撃つ』の著者による「独創的な読書術」に焦点をあてています。
著者がオススメする「百冊の本」も紹介されているのですが、目指すのはじつは別のところ。
それは、大量の読書をつうじて、自らの「究極の百冊」を見つけることを指しています。
武道の「守破離」のように、さいしゅう的には百冊ですら必要なくなり、それを「抜き書き帳」に昇華させるプロセスが描かれています。
いっぽう、本書は読書エッセイとしても一級であり、読書の効用や、なぜ読むのかといった根本的な問いにふかく踏みこんでいます。
読書をつうじて自己を知り、文化的に成熟することで、最終的には「他者と世界を愛することができる」という視点がしめされているユニークな本です。
2.『必読書150』
知性の回復ガイド本。
「これらの本を読んでいないヤツはサルだ!」とハッパをかけられ、読書のモチベーションが高まること間違いなし。
柄谷行人や浅田彰、島田雅彦といった知識人が、150冊+70冊の必読書を紹介しています。
本書の利点は、現在の立ち位置を客観的に知ることができることと、教養の底上げに役立つこと。
柄谷行人さんによれば、「現実に立ち向かうためには教養が必要」であり、本書であげられた本を読むことをつうじて教養を身につけることが可能となっています。
挙げられた本は骨太で難解ですが、深い思索をうながすものばかり。
一生つきあえるガイド本です。
3.『僕らはそれに抵抗できない』
ビジネスの本ですが、あえて「読むこと」に入れました。
というのも、本書を読むことで日常的につかうサービスの「ウラを読む」ことができるようになるからです。
本書は、デジタル依存症とビジネスの関係を明らかにしています。
iPhoneやネットのサービスをただ使うだけだけはなく、その背景にある思想や仕掛けといった「ウラを読む」ための本といえます。
デジタル依存症をつくりだす要素や、著者の提案する対処法が解説されており、デジタルデトックスを行い、読書時間を増やしたい人にも必見。
著者の具体的でわかりやすい語り口により、心理学やテクノロジーに詳しくない読者にも読みやすい一冊です。
ビジネス書
1.『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』
すてきな装丁の本。
そして、現代のマーケティング理論についてのパワフルな本。
知名度の低いバンド「グレイトフル・デッド」がどのようにマーケティングの先進性を示したかを探求しています。
彼らの成功は、有名な楽曲やアルバムがないにもかかわらず、独自のコミュニティ(デッド・ヘッズ)を持っていること。
各章では、バンドがつかった手法と、おなじ手法をもちいた企業の成功事例を紹介。
そして、読者に実践可能なアクションを提案しています。
文章は読みやすく、写真も豊富であきずに読めます。
とくに印象的だったのは、「ありのままの自分でいよう」という考え。
演じることよりも本物の姿が効果的だとされています。
個人事業主やスモールビジネスの経営者、マーケティング担当者にオススメ。
2.『貧困脱出マニュアル』
この世知辛い世界で、サバイバルするための戦術本。
もともとは、毒親育ちの中学生や高校生を対象に、「貧困からの脱出する戦術」を提案する本です。
しかし、未来を先読みし、「人がやりたくないことをやる」といった、起業やコンテンツづくりに役立つ視点を提供してくれています。
仕事選びのアドバイスも盛りこまれており、具体的なトレンドや、市場選定に焦点をあてたアプローチがしめされています。
実用的かつ合理的な内容で、元気をあたえる一冊。
3.『身銭を切れ』
個人のキャリアに焦点をあてた本。
「意思決定や信頼性向上」には、実際の「リスクと報酬」が必要であると著者は語っています。
あたらしいリーダーシップスタイルを提案し、積極的なリスクをとることで真の信頼を築くことができると強調。
また、「言葉ではなく行動」を観察し、「信念をつらぬくために冒すリスク」が重要であるとしています。
リーダーシップとリスクの重要性を理解し、信念と行動にリアルなリスクを結びつけ、成長を促進する一歩を踏み出すことができる一冊です。
古典系
1.『資本論』について佐藤優先生に聞いてみた
『資本論』入門に最適な一冊。
社会人ならば、予備知識なしで理解できます。
本書は見ひらき2ページに1つのテーマをまとめられており、図とイラストつきで分かりやすく、時間の制約がある人に適しています。
「やりがい搾取」や「ブラック企業」といった現代的問題を『資本論』をつうじて冷静に分析する視点を提供しています。
労働環境の厳しさに直面する社会で、生き抜くために役立つ本といえます。
2.『君子論』
『君子論』は政治的リアリズムの傑作。
リーダーシップと政治の複雑さに興味を持つ人にとっては必読の一冊。
マキャヴェッリが16世紀に執筆した作品で、政治の「無慈悲な現実」を探求しています。
効果的な統治のためには「現実主義」が重要であり、支配者はつねに「状況に適応」する必要があると語られます。
ですので、支配者はときに「狡猾で無慈悲な手段」をつかう必要があると強調されています。
支配者が「愛されること」と「恐れられること」の二分法にかんする議論がとくに興味深いです。
この古典の影響は、政治や哲学だけでなく、心理学やビジネスなどの分野にもおよんでいます。
3.『ルバーイヤート』
時代をこえた、普遍的な哲学にふれる一冊。
11, 12世紀のペルシアの詩人オマル・ハイヤームによって書かれた本書は、中東のイランへの入門に最適な本です。
多彩なテーマを扱った詩は、時代をこえて魅力的。
詩ではありますが「未来の不確かさ」と「現在の重要性」を掘り下げており、実用的と判断しました。
また、翻訳者の現代語訳が読みやすさをたすけてくれ、彼女の注釈やエッセイをつうじて、文化への理解を深めることができます。
おわりに
現実と向き合う力強いメッセージをたずさえた、実用書の各ジャンル「Top3のベスト本」紹介しました。
これらの言葉は誰にでも分かりやすく、心に深い共鳴を呼び起こします。
これらの本たちとの出会いは、まるで心に残る冒険の旅でした。
ぜひこれらの本の魅力に浸り、新たな世界への扉を開いてみてください。
今回は「実用書」にフォーカスを当てましたが、明日は「物語」に焦点をあてたベスト本を紹介します。