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簡単にグローバルキャリアを歩む方法 『国外逃亡塾』

変化しないと淘汰される現代。

国内上位大学を卒業して、日系の大手企業に勤務するという前の王道ルートが、現在はリスクの高い選択肢となってしまいました。

そんなリスクへの対策と、経済的自由を手に入れるためにとれる手段は、グローバルでキャリアを築くことで、その入り口となる、海外大学(特に英語で学べるEUの大学)への進学のメリットについて、本書は力説しています。

これから大学進学を考えている高校生や、大学院進学を考えている大学生ははもちろん、すでに社会にでて働き、日本でグローバル賃金を得て働きたい人や、海外で活躍したい人にもオススメ。

また、自分の子供に英語を習得してほしいと願う親の方々にも、子供の英語教育について詳しく書かれてあるので、参考になるはずです。

本書を読んで衝撃を受けたのは、「グローバル賃金」の存在です。

著者は米国のデューク大学を卒業後、日本で、大手コンサルティングファームに勤務したそうですが、同時期に入社した友人との比較が壮絶です。

<<<グローバル賃金の著者>>>
・ボスキャリ経由の米国現地採用
・一緒に働くチームと面接をちょこっと1回して内定
・仕事は定時であがり→米国公認会計士資格やMBA受験をサクッと終わらせれた
・有休消化は当たり前
・二年半ほどで、年収が通常入社の友人の2倍

<<<通常入社をした日本人賃金の友人>>>
・日本支社採用
・ESからはじまり、ウェブテスト、グループ面接、6層の採用ステップを二か月かけて内定
・残業が当たり前で終電を逃す日々
・初年で有給をとるのは考えられない
・年収におおきな変動はない

働く会社は同じなのに、海外の大学を卒業し、海外で採用されるという「入り口」が違うだけで、これほどの差がついてしまうのかと驚かされました。

グローバル賃金を得ることは、日本でしか働けないと言う足かせがなくなるので、「日本に帰ってきても人権が尊重される身分になる」とのこと。

さらに、高い年収と、雇用の流動性も得られるため、グローバル賃金は一種の「セーフティーネット」と呼べます。

対して、セクハラやパワハラ、ブラック企業など、人権侵害が当たり前の日本企業(もちろんすべての企業というわけではないですが)で、日本人賃金でしか働けない人にはリスクでしかないでしょう。

グローバル賃金を得るために、すべての日本人が利用できるものが以下の3点です。

①日本人の平均的数学力
②世界的ITスキル人材不足
③学費が安く、入学のハードルが低い海外大学

まず、日本人の数学は、基礎力と応用力において、世界的に6位と、すでに高い位置にあります。

その数学力が活かせるのが、コンピュータサイエンス。

なおかつ、全てが何らかの形でテクノロジーと無関係でいられないこの時代、プログラマーの数は世界的に不足しており、プログラマーになれば、速攻で年収が1000万以上を超えるケースもざらにあります。

最後に利用できるものは、そんなコンピューターサイエンスを安く、簡単に学べる世界の大学。

日本の国公立大学の学費は上がり続けるばかりなのに対して、世界に目を向けると、日本よりも安く学べるところはたくさんあります。

著者が、英語でコンピューターサイエンスを学ぶのに、世界で最もコスパが良いと推薦しているのが、ハンガリーの「エトヴェシュ・ロラーンド大学」。

実践面も、理論も評価が高く、全部を英語で授業、かつアントレプレナーシップの研修も行っており、高校の成績と面接だけというハードルの低さも魅力的。

また、大学生の3割に学費免除と生活費補助をしており、ハンガリーの生活費が日本のざっくり半分と考えれば、日本と比べて、かなりのお金を節約できます。

他におすすめされていた留学先は以下の4校です。
・フランスのソルボンヌ大学
・フィンランドのアールト大学
・ドイツのベルリン工科大学
・オランダのアイントホーフェン工科大学

英語学習についての具体的なアドバイスもあり、15歳向け、大学生向け、25歳向け、35歳向けにそれぞれ分かれてあります。

子供の英語教育についても、0〜2歳向けや、3〜5歳向けの学習教材の紹介があったりと、親の方にも参考になります。

著者の別の英語学習本と合わせて読めば、英語対策はバッチリでしょう。

その本については、以下の記事にレビューを書いています。

ぼくは、「どうせお前は、理不尽な扱いが当たり前の日本企業でしか働けないのだろう。」と、会社に足元を見られている感じがイヤで、会社を退職しました。

そして現在は42 Tokyoでプログラミングを学んでいますが、本書を読み、海外の大学でCSの学位を取得することや、大学院進学もありだなと、新しい視点を得ることができました。

グローバル賃金を得て、会社や場所にしばられず、自由に生きたい方には是非、手にとってもらいたい本です。


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