#4 谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学:ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』をもっと楽しむためのブックガイド
京都市で哲学を研究している谷川です。
このたび、『信仰と想像力の哲学:ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』(勁草書房)を上梓しました。2021年2月末に発売されました。
Amazonにレビューがついていて、これが本書のいい紹介になっていると思います。ぜひそちらもご覧ください。
また、今回に限らず、この本について紹介しています。ぜひマガジンを参照ください。
さて、今回は、この専門書を楽しむための参考書を書いていきます。
1.鶴見俊輔『人類の知的遺産 デューイ』
『アメリカ哲学』で在野の読者を相当獲得していた鶴見が、同書では評価していなかったデューイについて、丸ごと一冊書いた本です。自伝的情報も多く、『信仰と想像力の哲学』でメインで扱う宗教論についても触れています。読みやすい
2.魚津郁夫『プラグマティズムの思想』
鶴見俊輔の弟子筋(制度的な弟子はほとんどいないので、広義の「弟子」と言うべきでしょうか)にあたる魚津郁夫の本です。
パース、ジェイムズ、デューイ、ミードだけでなく、モリスやローティなどについても触れています。
魚津さんは、『世界の思想家 デューイ』でデューイの著作から抜粋した訳選集を刊行しています。これはかなりいいです。
ただ、魚津さんは本書で主題的に扱っているような近代化の問題(大衆社会と消費社会、世俗化などの問題系)を見失っているところがあるので、注意が必要かなと思います。
3.岩波新書『アメリカ合衆国の歴史 シリーズ』
私の本は、かなりアメリカの歴史を踏まえているので、アメリカ史について知識というほどではなくても、なんとなくアメリカについてイメージできていると読みやすいかと思います。
本書でも参照している読みやすい本でいうと、こちらをおすすめします。
全部で4冊のシリーズなのですが、②と③が本書が扱っている範囲にまたがっています。
4.堀内一史『アメリカと宗教:保守化と政治化』
アメリカと宗教との結びつきについては、この新書が簡潔にまとまっていて、おすすめです。
アメリカの宗教の歴史的な流れについてもおさえていますし、アメリカの宗教を特徴づけている「デノミネーショナリズム」などについても解説があります。あと、現代のアメリカ宗教が政治にどれほどコミットしているかについても。
森本あんりさんの『反知性主義』も併せて読むことをおすすめします。
5.デイヴィッド・ライアン『ジーザス・イン・ディズニーランド』
監視社会論で有名なライアンの宗教社会学研究。宗教と消費の結びつきについて、独自の視点から語られています。2021年に出たばかりの翻訳です。
本書と対比する上で、かなりいいんじゃないかと思います。
消費と近代化(都市化)の結びつきについては、ライターの速水健朗さんのこの新書が面白いです。
6.リチャード・ローティ『新装版 アメリカ未完のプロジェクト:20世紀アメリカにおける左翼思想』
デューイから大きな影響を受けたローティの政治論です。
『信仰と想像力の哲学』では、宗教・消費・政治という三つの領域がテーマになっているのですが、デューイの政治領域での仕事について考える上で、ちょうどいい本かなと思います。
できるだけ読みやすい本を中心に選んだはずです(背伸びすれば初学者も読めるような本)。
もちろん、本書の最後に載っている勁草書房の各種の本もおすすめします(が、若干初学者が読むには難しいのかなと思います)。
……という感じです。
また何かあれば宣伝を書きますね。
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