あやとり家族19
小学校の頃、お母さんに言われた通り、裁縫道具を毎回隣のクラスのすずちゃんに借りにいっていた。
小学校5年生の時に家庭科の授業が始まった。その準備段階で、裁縫道具の販売が学校であった。裁縫箱が2種類、お母さんにどっちでもいいよと言われて沢山悩んだけど、どっちにしていいか自分で決められない。
自分の好きなものがわからなくなっていた。とりあえず仲の良い友達とお揃いの柄に決めた。
他にもハサミやら、まち針やら付属注文の紙も同封されていて。私はよくわからなかったからお母さんに任せて、提出日に先生に手渡す。
注文した裁縫セットが届いた日。嬉しくて裁縫箱を開けた。
中には何も入っていなかった。すずちゃんの裁縫箱には全部揃っていた。
「お母さん、なんですずちゃんのにはいっぱい入っているのにももちゃんの入ってないの?」って思わず聞いた。
「同じ時間に家庭科の授業はないでしょ?ももちゃんは、家庭科の授業があるときはすずちゃんに借りに行きなさい」って。
だから、休み時間になるとすずちゃんのところに毎回借りに行っていた。
こんなことある?
絵の具のこともそうだけど、学校で使う道具くらいは2人分揃えて欲しかった。
毎回借りに行く私の気持ちなんて全く理解していなかったんだろう。
そんな裁縫箱だけど今までずっと大事に使っていて、嫌な過去を消すように愛着を湧かせて自分で中身を増やしていった。
それも元夫に勝手に捨てられていた。
我慢して我慢して
それでも良い結果になるように自分で工夫して
で、今度は捨てられちゃって
私って一体なんなんだろうって時々考えてしまう