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自閉症児は方言を話さない

いやー、大学の勉強を頑張っていますが、教科書ってつまんないねー!笑

自閉症は津軽弁を話さない

さて、今日は、最近読んで面白かったこちらの本について。

『自閉症は津軽弁を話さない』
これは衝撃です。

津軽弁なんて、わたしたちでは全く聞き取れない、ほぼ外国語みたいなものなのだし、それを親が話しているのに自閉症児は話さない…。
しかも、津軽弁どころか関西弁も、博多弁も熊本弁も言わない、ということのようなのです。

うちは長野県でそんなに方言がないエリアだし、わたしは北関東育ちで夫も神奈川や東京で育っているので、うちのいっくんは関係ないのですが、方言を話さないメカニズムはとても気になります。

親の言葉で言語習得しないの?
生活の中のやり取りで言語習得しないの?

上記の書籍では、教育学の教授である著者が、児童発達心理士の奥様が言った、「自閉症児は津軽弁を話さない」という一言から始まった研究がまとめてあります。
奥様は現場で、たくさんの子どもを見る中でそれに気が付いたのですが、調査する中で、自閉症児は津軽弁のみならず、どの方言も話さない、ということが判明した、というところから、じゃあなぜ話せないの?そもそもみんなどうやって言葉を習得してるんだっけ?みたいな感じで調査をした結果がまとまっております。

ASDの言語コミュニケーションの特徴

ASDの子どもは、言語表出において以下のような特徴があると言われています。

・ことばが出ても会話ができない
・会話が持続できない
・話しことばの理解、特に抽象語の理解が難しい
・興味のあることのみを話す
・決まり文句を多用する
・エコラリア(オウム返し)
・主語や人称代名詞の使用において混乱がある
・個人的体験にもとづく独特の造語や言い回しをする
・助詞や助動詞の使用に問題がある
・構文が未熟
・囁き声
・甲高い声
・抑揚のない一本調子な独特の話し方
・不自然なアクセント/イントネーション

『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症の言葉の謎を読み解く』松本敏治


抑揚のないロボットみたいな話し方をする、なんてことがよく書かれていて、分かる、そういう人いるよね、なんて思いますし、言葉を話すようになっても、名詞などがほとんどで、話し言葉はあまり言わないとか、何か話しかけてもオウム返し(エコラリア)ばかりで会話にならないとか。

うちのいっくんに関しては、謎にリズミカルだったり、変な抑揚が付きます…笑
最近は、「あっーこーうぃ!あこうぃ!あこうぃ!あっこーーーうぃ!!」などと、最後の「うぃ!」にアクセントをつけた謎の言葉を続けざまに話します。
「ん?『だっこがいい』ってこと??」
「それとも『かっこいい』って言ってる??」などとわたしは困る(笑)

でも抱っこして欲しい時によく言ったりしているので、わたしの中では「抱っこがいい」なのかなという感じですが、何の関係もないところでも独り言のように「あっこうぃ」を言っています。

方言を話さないことも含めて、何か共通の理由はあるのでしょうか。

周囲の人間の模倣をしない

子どもが3歳とか4歳くらいになると、わたしと話し方そっくり!みたいなことが起こります。
女の子は特に口が達者なので、小さいお母さんみたいになったり。

ASD児はそれが全くない(もしくはとても少ない)、ということですね。

男の子はわりとテレビの模倣が多いような気もします。
戦隊もののヒーローになりきって戦ったりするのもそのためですね。
上の息子(現在小学6年生)はウルトラマンが好きで、ウルトラマン人形を買ってあげてそれでよく遊んでいたことを思い出します。

ASDは超男性脳ともいわれます。

言葉は自然に身につけるのではなく、「学習」して覚える

家の中でバリバリ津軽弁でも、テレビなどで流れるのは標準語。
ASD児はテレビなどを通して言葉を覚えていると考えられます。

ASD児はエコラリアと言って、言葉を記憶で覚えて、それを後から機械的に話すことがあるそうです。(いっくんにはまだそれは出てないです)

知的な遅れが無い場合は、文字を覚えてから、ようやく会話能力がのびていく子も多いです。

そんな風に、ASDの子どもはテレビとかYouTube、言語訓練のような形で言葉を「学習」しないとなかなか覚えられない、だから方言を話さない、といえそうです。

いっくんを見ていても、わたしたちの言葉や行動はあまり模倣しません。昔の方が上手に歯磨きのマネとかしていたような気がするなぁ。
テレビを見て踊ったりはします。

いずれにしても出来ては消え、を繰り返していますが…
定着しないので、成長をあまり感じない寂しさがあります…

でもこう聞くと、一日中でもテレビ見せれば覚えるのか?
母親としての日々の語り掛けは言語習得に繋がっていないの?
という気持ちになってしまいます。ASD児の親に、そういう気持ちを抱かせてしまう、という点でこの本は良くないな…と思います。
もうちょっと、そうじゃない形で親がどう接するといいのか、ということを教えてほしかった気がします。

わたしたちも日々、視覚と結び付ける形で言葉を教えたり、繰り返し繰り返し、語り掛けたりしていけば、言葉を覚えてくれるとも思うのです。だから言語訓練のようなものがあるのだしね。

そうやって話しかけて学習する言葉も、単語が多いので、方言にはならないんだろうなと思います。

あと、この本はASD特有の聴覚情報処理障害などについて言及していないところが片手落ちかなぁという印象も。

みんな自分の子どもが方言を話すかどうかより、言葉がなぜ遅れるのか、どうしたら言語やコミュニケーションの能力が身に付くのかが知りたいので、そういう意味ではあまり役に立たないかなぁと。


隠れアスペルガー疑惑の夫の場合

隠れアスペルガー疑惑の夫にこの話をすると、「面白いね。でもわかる」と言っていました。

夫は東京の世田谷区と神奈川で育ちましたが、両親はどちらも関西出身で、家では関西弁で話しかけられていました。
「でもあなたは関西弁話してたでしょ?」と言ったら、
「中学生になってから意図的に関西弁を習得した」と言っていました。

そうだったんだ…とびっくり( ゚Д゚)

わたしたちの言葉なんて宇宙語なのかな。心配な毎日です

しかし3歳になったいっくんがいつまでも言葉を話さない、話しても消えちゃうのは本当に心配です。
きっと話すようになるまでこの不安は消えないだろうな。

身体的な遅れは無かったし、自閉傾向もそんなに強くないと思うのですが、言語習得はとても遅い。言語発達遅延の方が当てはまるのかしら?
もしかして知的な遅れもある?そうは思いたくないなぁ…なんて悩ましくて、その悩みを覆い隠すかのように本を読んだりネットでいろんな子の例を読み漁ってしまう毎日です。

多くのお母さんの話を読んでも、子どもが2歳、3歳の時が一番辛そうです。わたしの場合は、言葉の遅れやコミュニケーション以外の困りごとがほとんどなく、いい保育園にも恵まれているので、ありがたいなぁとも思うのでした。


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