赤字だったカフェが移転によって人気店に大変身したわけ
ある大都市郊外に立地しているカフェです。
ご主人と奥様が「移転して出直すので手伝ってほしい」というご相談でお越しになりました。
居抜きで出店。これが失敗の始まり
現在のお店は、郊外立地。カフェだったお店の居抜き出店です。金融機関に紹介され、コンサルの経営指導によりオープンしました。
居抜きなので、初期コストが低い出店だったのですが、ご主人にとって想定外だったのは、客層と提供するメニューのギャップでした。
ご主人の話をじっくり伺うことから始めます。
スタートして、5分も経たないうちに、問題点とご主人の強みが見えてきました。
ご主人は、実はバリスタ界では有名な方で、全日本のコンテストでも優勝。海外のコンテストでも3位になる、凄い人だったのです。
現在でも近隣の県からも、ご主人の技術の教えを乞うバリスタやバリスタを目指す人が多く、定期的にセミナーを開いているのです。
「えっつ、そんなすごい人が、どうして普通のカフェを開いてるのですか?」
思わず私は口に出してしまいました。
コンサルが言った、ターゲット・セグメント
オープン時にコンサルから、こう指導されたそうです。
狙った通り、オープンほどなくして、主婦層、子供連れのママたちがお店にお越しになり、「居心地の良いカフェ」と言われるお店になりました。
お客様が増えるのは良い事ですが、ご主人のジレンマも増えてきました。
自慢のバリスタの技術よりも、ドリンクのバリエーション、フードやデザートのバリエーションをお客様から求められるのです。
ご主人はバリスタとしては、ブロ中のプロですが、フードやデザートは得意ではありません。
奥さんが、デザートを空き時間で学んで、見よう見真似で作って対応しています。
「居心地の良いカフェ」であることが災いし、客単価に対してお客様の回転が悪く、効率が悪い店となり、赤字が増えていきました。
移転によって仕切り直し。
ご主人のお話を聞いて、方針が見えました。
バリスタ界の凄い人、バリスタチャンピオンであることを、
お客様は誰も知らないことです。
そして、そのバリスタチャンピオンが作る、メニューが凄い事を
誰も知らないことです。
「ご主人の
”バリスタチャンピオンとしての凄さを見える化”しましょう
この言葉を私が発すると、ご主人と奥様の表情がみるみるうちに、変わってきました。
今のお店では、ご主人が”バリスタチャンピオン”が全く分からないですよね。
次のお店でもそうです。
「このお店はバリスタチャンピオンが淹れるコーヒーが飲める店」と言わなければ、誰もわかりません!
お店の強みを「見える化」する
新しいお店は、一言で言うと
「バリスタチャンピオンが淹れるコーヒー専門店」 です。
まず、ご主人・奥様とこれを確認しました。
では、「バリスタチャンピオンが淹れるコーヒーとは、何か?」
が重要です。
豆、焙煎、抽出・・・細かいこだわりは色々あると思いますが、
一般市民には、そんな細かいこと、分かりません。
「中高生でもわかる、バリスタチャンピオンが淹れるコーヒーって何?」
これをご主人に投げかけました。
色々、問いかけの角度を変えてご主人にヒアリングしますが、
豆や抽出技術の話しか出てきません。
「それでは、コーヒーおたくしか共感しません。おたくの店になりますよ。」私がそう言うと、奥様が口を開きました。
「ラテアートも得意なんです。ラテアートでもチャンピオンです。」
ラテアートチャンピオンの店として、情報発信
「お客様のリクエストや雰囲気、イメージでラテアートって自由に作れるのですか?」
ラテアートが”ウリ”になると思った私はこんな質問をしました。
「そんなの、いつもフツーにできますよ!」
ご主人は顔色一つ変えず、答えたのです。
一言で言うと、「ラテアートチャンピオンが淹れる、日本一のラテ」が飲める店です。
そのラテアートは、お客様のリクエストや雰囲気に合わせてチャンピオンが描く、唯一無二のカフェラテ。
こんな切り口で、開店前からSNSで情報発信、プレスリリースをすることになりました。
おかげで、オープン前からテレビ局の情報番組や新聞、ネットメディアが取材。お店の強み、特長が発信されました。
もちろん、オープン直後からお客様でにぎわうお店になったのです。
ご主人と奥様からは、オープン後に、
「おかげで、自分たちの強みが分かりました。ありがとうございました。」
こんな、御礼状を頂きました。
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