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1994年生まれ。瞑想を8年間くらい続けています。東洋哲学を勉強中。普段はインターネッ…

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1994年生まれ。瞑想を8年間くらい続けています。東洋哲学を勉強中。普段はインターネット広告会社に勤務していて立派な社会人になろうと頑張っていますが、それと同時に非社会人としても極まって行きたいと考えています。思想や仕事について発信します。

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  • 宗教関連まとめ

最近の記事

LLMで小説をリライトすることは一眼レフで撮った写真をレタッチする感覚に近い。素材を集めたあとは文明の力に頼ろう。

    • 短編小説 無為の道行と銀座の残香

      蔵前の大通りから少し外れた裏道を歩んでいた。周囲には新築の高層マンションと、古びた雑居ビルが雑然と並んでおり、その合間に洒落たカフェが顔をのぞかせていた。前方には、背中を深く折り曲げて歩く八十歳ほどの男性が、しばらくの間ゆらゆらと進んでいく。その姿が、一見豪奢に見える新築マンションの中へと吸い込まれていくさまを、私はぼんやりと見届けた。 私は、つい最近まで連れ添っていた幼なじみのガールフレンドと別れたばかりだった。道行く若い男女が、私に対して侮蔑の目を向けた。その二人は、や

      • 不幸について

        人生は、ひとえに不幸でなければならない。 不幸こそが、生の意味であり、存在の証明である。死の願望は、常に胸の奥底に燃え続けていなければならないのだ。 それは、甘美な毒であり、魂を蝕む麻薬である。 人類は、いつから幸福という名の幻想に囚われてしまったのか。 画一的な価値観に支配され、真の生の意味を見失ってしまったのか。 幸福など、空虚な殻に過ぎない。人生の深淵を測る指標は、幸福度ではなく、不幸度である。 不幸の淵に沈めば沈むほど、魂は研ぎ澄まされ、生の充実は増してい

        • 精神がAIに侵食されついには崩壊していくような小説を書いて

          宝田誠一郎は、東京の喧騒に埋もれた広告代理店の一室で、静かに目を覚ました。窓の外では、雨が細かく降り注ぎ、灰色の空が重くのしかかっていた。彼の机の上には、昨夜まで必死に取り組んでいたプレゼン資料が散らばっていた。その傍らには、最新のAI搭載スマートフォンが冷たく光を放っていた。 宝田は深い溜息をつき、立ち上がった。鏡に映る自分の姿は、かつての輝きを失い、ただ疲労だけが刻まれていた。彼は思わず、自問自答した。「これが、私の望んだ人生だったのだろうか?」 その瞬間、スマート

        LLMで小説をリライトすることは一眼レフで撮った写真をレタッチする感覚に近い。素材を集めたあとは文明の力に頼ろう。

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        • 宗教関連まとめ
          6本

        記事

          計算機言語存在論――井筒俊彦と落合陽一を基盤としたハイデガー哲学のアップデート――

          序論 現代社会において、計算機技術は飛躍的な発展を遂げ、我々の生活や思考様式に多大な影響を及ぼすようになった。スマートフォンやインターネットに代表されるデジタル・テクノロジーは、もはや日常生活に欠かせない存在となっており、AI(人工知能)をはじめとする先端技術は、社会の在り方そのものを変容させつつある。こうした状況の中で、計算機言語の存在論的意義を問い直すことは、喫緊の課題と言えるだろう。 従来、計算機言語は、単なるプログラミング上の道具として見なされることが多かった。し

          計算機言語存在論――井筒俊彦と落合陽一を基盤としたハイデガー哲学のアップデート――

          計算機言語存在論:井筒俊彦と落合陽一を架橋する超越論的試み

          第1章:井筒俊彦における言語と存在の弁証法:コトバの深淵と存在の顕現 1.1 言語の超越性と存在論的次元 井筒俊彦の哲学において、言語は単なるコミュニケーションの道具や記号体系にとどまらず、存在そのものを照らし出す光、世界を構築し顕現させる力を持つものとして位置づけられる。彼にとって言語は、人間の思考や感情を表現する手段であると同時に、存在の根源に深く根ざし、宇宙の真理を解き明かす鍵となる。井筒は、言語を「コトバ」と表記し、その超越性と存在論的次元を強調する。 1.2 空と色

          計算機言語存在論:井筒俊彦と落合陽一を架橋する超越論的試み

          朝ラーメンと葉隠

          その5文字に目を疑った。それは雷のように天空から突き刺さった――「朝ラーメン」。 ラーメンという平凡な4文字に"朝"を加えるだけで、破壊的な、人を殺す意味を持つ衝撃的な言葉になってしまう。京都では"朝ラーメン"という破滅的な習慣があり、その歴史は遥か昔、葉隠れの侍が始めたという言い伝えに遡る。 「朝ラーメン」という自己犠牲的、自己破壊的な思想は、まさに武士道の切腹の美学そのものだった。朝ラーメンを食べることは、生と死の境を異常なほど意識させられる、極限の体験だった・・・

          朝ラーメンと葉隠

          井筒俊彦の言語アラヤシキとLLMの世界空間の一致。落合陽一氏の抽象言語オブジェクト=コトバ。世界はコトバでできていることを再認識させてくれたのはchatgpt。LLMは世界を実装可能にしようとする試みであり、その過程で神のみぞ知るはずだった仏教の内蔵は露呈され、人間はそして・・

          井筒俊彦の言語アラヤシキとLLMの世界空間の一致。落合陽一氏の抽象言語オブジェクト=コトバ。世界はコトバでできていることを再認識させてくれたのはchatgpt。LLMは世界を実装可能にしようとする試みであり、その過程で神のみぞ知るはずだった仏教の内蔵は露呈され、人間はそして・・

          ブルシットな仕事との向き合い方

          大半の仕事には意味がないという実感に溢れている。 我々世代の就職した時に感じた違和感は尋常ではなかったと思う。 他に理想的な仕事があるはずだと言って転職する人間や、仕事を辞めてなんとか生きる道を探す人間は山ほどいた。 その一方でその環境に"適用"する人間もいた。 社会に"適用"した人間は一定の成果は出していたし、会社で評価され表彰された。 "仕事"は楽しい、が彼らの口癖だったし、会社もそれを求めていた。 私はどちらかというと後者に属したい人間だった。どちらかというのはもちろ

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          水族館

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          さいたま #写真

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          読まれない世界を愛でよう

          書き手の文章はついに読まれずに消えていった。 人が消費すべきコンテンツの量は指数関数的に増え、常に脳が許容する範囲を超えている。人は常に致死量ぎりぎりの薬を飲み続ける。 壇上に上がる前、書き手はこのことに気を付けなければならなかった。すなわち読み手はほぼ気絶しながらコンテンツを見ていることに。それは彼がここに来るまでの経験によるものだった。・・・ 彼は電車に乗車していた。その時、目に留まったものがあった。前に座する女性のスマートフォンの画面が、彼の眼前に鮮やかに映し出さ

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          瞑想によってみえる世界を追う

          瞑想を長年続けている人にしか見えない世界があるらしい。 その世界のことを悟りの領域とか神秘と呼ぶ人もいる。 自分は10年くらい続けているけどそんなモノは見えた事はない。 見えるのはただ昨日あった嫌なこと、今日これから起こりうる嫌なこと、未来に起こる嫌なこと。 先輩から教えてもらった麻美ゆまの顔と健診で発覚した心臓疾患。 エロティシズムにたどり着けなかった動物的な性欲の汚穢と死に怯えるぶざまな生に気付き、その日の瞑想を終える。 浄化を目指すほど不浄なものが内から湧いてくる。己

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          インドの仏神たちを眺める

          イスラーム展をやっている東京国立博物館東洋館にて。 イスラーム美術を観に行ったつもりが気付いたら端っこあるクメールの彫刻展と中国・インド彫刻展に引き込まれていた。インド宗教の持つ吸引力は計り知れない。 まずはガンダーラの仏像から。 クシャーン朝(2〜3世紀)のガンダーラで発展した仏教彫刻達。 クシャーン朝時代ではカニシカ王とき、仏教をあつく保護したことから、仏教芸術が発達したという。 またこの時代の仏像は原初的な仏教芸術であることで非常に大きな意味を持つ。従来の仏教美術

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          【暁の寺 三島由紀夫】 ジンジャンがヘビに噛まれて死ぬラストシーンで、彼女が孔雀明王の化身ではなかったことが証明され、最後に残されたヒンドゥーのコンテキストを持つ密教に対する僅かな希望が打ち砕かれ、ついに全てが唯識の世界、つまり阿頼耶識の徹底した相対の波に飲み込まれていく。

          【暁の寺 三島由紀夫】 ジンジャンがヘビに噛まれて死ぬラストシーンで、彼女が孔雀明王の化身ではなかったことが証明され、最後に残されたヒンドゥーのコンテキストを持つ密教に対する僅かな希望が打ち砕かれ、ついに全てが唯識の世界、つまり阿頼耶識の徹底した相対の波に飲み込まれていく。

          西田幾多郎とマルクスガブリエル https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=11106&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

          西田幾多郎とマルクスガブリエル https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=11106&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1