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教壇に立ち続ける ⑤ ふたりの生徒【note限定記事】

我が勤務校も休校措置となり、真面目に収入減が絶たれました。どうも星野です。頼むから休業補償をしてくれ……。
今日のテーマは「ふたりの対照的な生徒」のお話です。1日1本プロジェクト進行中。いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。ほんとにサポートがないと生きていけません。家賃が払えない。minneで商品を買って頂いても構いません、Fantia(ファンティア)はこちら。

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本日をもって塾講師としての最後の業務を終えたのですが、昨年度の生徒は非常に対照的でした。ひとりは浪人して国公立大を目指す国語が苦手な子。もうひとりは高校1年生に上がりたて、勉強についていけない英語が苦手な子。ふたりとも私の最後の生徒でした。前者をAさん、後者をBさんとしますが、Aさんはかなり自分で勉強のペースや内容を決められる自立したタイプで、質問もガンガンするような積極的な子でした。まあ、受験戦争の真っただ中に2年間いたのでそれは当然なのかもしれませんが。Bさんは引っ込み思案でなかなか質問を言い出せず、ただ分かったようなつもりになっているのが問題でした。しかも学習習慣がゼロで、毎日コツコツ努力するのが苦手でした。

そんなふたりを預かった私は、いろいろと対策を講じました。
Aさんには自分の便覧を貸し出し、自習用のテキストは塾の備品のみにし、とにかくAさんにとってしっくりくる読解方法を身につけてもらうところからスタート。そして自分なりのスタイルが定着してからは、背景となる知識や問題を解くうえでのテクニックを伝え、最後に自分自身の思考を客観視させることに重点を置きました。ある程度自分なりに勉強ができた生徒だったからこれがうまくいったのかもしれませんが、かなり演習中心のハードな授業をやったなと思っています。その子には試験に対する恐怖心を克服するという課題もあったので、メンタルの崩れがないか管理もしました。自信をもって受験に臨んでほしいと思いながら、必要最低限度の授業数で進めました。その子の能力が高かったことと、1年間の積み重ねの結果無事志望校に合格し、春から大学生になりました。私にとっても、その子と交わした議論は大切な経験となりました。

一方で高校1年生のBさんは、まず週間計画書を立てるところから始めました。部活の予定や小テストの予定をヒアリングし、コンスタントに成果が出るように指導しました。小さなつまずきを見逃さないように気を付けて、その子が何につまずいているかを分析しながら授業のルールも決めました。そのいち、授業の内容は必ずメモを取ること。そのに、わからないところは遠慮せずに質問すること。怒らないから。そのさん、自分で計画を立てたら見直しをすること。これでだいぶこの子も伸びました。テストの順位も一気に100位くらい上がって、その子とふたりで大喜びしたのを覚えています。その子は今、別の講師の元で勉強していますが、心配なことがあると私に聞きに来るくらいに心を開いてくれるようになりました。

この対照的なふたりの指導にあたって私がいちばん注意したのは「その子の特性を見ること」でした。やみくもにやってもよくないので、戦略を立てる意味でよく生徒の解いている姿や成果物をチェックしました。その効果があったのか、今回はふたりとも成績が伸びたので安心しましたが、何より大事なのは「信頼関係の上でやる気になってもらうこと」なのかもしれないな、とも思っています。信頼関係を築いて(これは馴れ合うことではありません、叱るときはきっちり叱りました)「この先生の言うことならやってみようかな」と思ってもらえるかどうかが指導には必要なのかもしれない、と考えるようになりました。それは学校での指導でも同じでしょう。一斉授業であっても、生徒の個別の能力差に合理的配慮をし、出来る限りその生徒の持つよいところを発揮してもらう。それがほんとうの「いい授業」なのかな、と。


まだ私も駆け出しで、何が正解なのかわかっていませんし、もともと正解のあるものではないとも思うのですが、これからも「いい授業」ができるように精進します。まずは映像授業の練習とかも。それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。